安倍首相は南京へも行くべきだ

 安倍首相は真珠湾を訪問し、オバマ大統領とともにアリゾナ記念館で犠牲者の霊に花束を捧げ哀悼の辞を述べ、戦後の時代に区切りを付けようとしているようである。

 日米が仲良くするためには悪いことではないが、沖縄の基地移転問題などでは国民である沖縄の人たちの長年の願望には全く耳を貸さずにアメリカに忠実な首相のハワイ訪問は、まるで植民地の首領が宗主国のご機嫌を取り忠誠を誓いに行った感を拭えない。

 戦後の時代にけじめをつけたいのであれば、ハワイよりも先に中国に行くべきではなかろうか。日米戦争が始まるより遥か以前からの中国への侵略があり、それが行き詰まった末が日米戦争となったのであり、戦争でアメリカとは比べものにならない多くの人たちの犠牲を強いたのは中国においてであるのが歴史的事実である。

 15年も続いた戦争の10年以上は中国を中心とするアジア大陸での戦いであり、太平洋での戦争が加わったのはその最後の4年にも満たない期間であったことを見ても、日中戦争の重大性が分かる。

 しかも中国は隣国である。あの戦争や戦後の時代にけじめをつけて、真の平和な環境を作るためには中国や植民地支配を続けてきた朝鮮半島の政府や人々との仲直りが必須である。アメリカからの真の独立を勝ち取ることと、中国や朝鮮半島との戦後のけじめを確実に成し遂げなければ今後のこの国の発展も望めないのではなかろうか。

 そのためには、ハワイへ行くなら中国へも行って無数の犠牲者の霊を弔い、侵略行為を謝罪し、真の友好関係を確立すべきではなかろうか。アメリカの映画監督のオリバー・ストーンや大学教授たちも安倍首相に上記のような趣旨の手紙を送ったそうであるが、誰から見ても、まるで日本とアメリカが戦っただけで、中国との長い戦争がまるでなかったかのような政府の見方は手前勝手な解釈に過ぎず、このまま時代を乗り越えようとしても世界はそれを許さないであろう。

  この国はもはや超高齢化、人口減少の時代に入り、不況はすでに20年にもおよび、一人当たりのGDPも3位から27位に転落している。他方、中国は今では経済的にも日本を遥かに凌駕し、韓国をはじめアジアの国々の発展も著しく、アジアの環境は戦前とはすっかり変わってしまっている。そうした中でこの国が今後生きて行くためにはアジアでも戦後のけじめをはっきりつけて、アジアの国々との友好関係を強固なものにして行くことが不可欠であろう。近隣諸国、中でも中国を無視して今後のこの国の繁栄はありえない。

 そのためにも安倍首相はハワイの次には、是非世界の賢人たちの意見も聞いて、南京へ行って欲しいものである。