アメリカの大統領選挙

 昨日の午後はNHKのテレビはアメリカ大統領選挙の模様をずっと流しぱなしであった。いくら超大国の大統領の選挙だからといっても、日本の選挙でもないのに、あそこまでするのかと思われた。植民地では主宗國の選挙が直接人々の運命に影響するので仕方がないのであろうか。それはともかくとして、皆の予想に反して民主党クリントン氏が破れて、共和党のトランプ氏が勝って大統領になった。

 上から目線のクリントン氏が嫌われたこともあるが、これまで続いてきたアメリカのエスタブリッシュメントの支配が揺らぎ、格差の拡大や中間層の没落など、アメリカ社会の大きな矛盾が顕著になっってきて、いよいよ曲がり角に来たことが背景にあることを認識すべきだと思う。

 オキュパイ・ウオール街の行動があって、99%対1%の格差が言われたりし、今度の選挙でも民主党のサンダーズ氏が多くの支持を得たことでもわかるように、大きな人々の不満を込めた動きが社会の底流にあることがわかる。

 中東を始めとする世界に警官としての産軍共同体の介入の泥沼化、リーマンショックなどの経済の破綻なども起こり、格差の大きさが許容範囲を超えつつあり、従来路線の矛盾の大きさが積み重なり極限に近づいたことを示しているのであろうか。たとえ、今回クリントンが勝っていたとしても、次の機会には起こったのではなかろうかと思えるような変化が起こったのであろう。

 世界的に見れば、アメリカの一極支配の世界の終焉が見えてきた一幕とも見える。仕方がなかったことであろうが、安倍政権にも今回の結果は読めなかったようだ。クリントンに決まったようなものだと踏んで、あらかじめクリントンに会い、TPPを先行して承認し、アメリカに協力してアジアの貿易で成果を上げようとしていたようだが、案に反してアメリカ優先のT PP反対のトランプ氏が大統領になってしまったものだから大慌て。ここでアメリカに見放されてはどうにもならないので、さしあたり早急にトランプ氏に顔をつないで引き続き大事な子分にしてもらおうと慌てているようである。

 これからどのようになっていくか不明だが、従来路線どうりには行かず、アメリカの事情によって色々振り回されることになるのではなかろうか。政府も時代の変化を正しく読み取り、これまでのような一方的なアメリカの子分のような立場を少しは反省して、世界の態勢を見て、独立国としての自主的な判断をして、近隣諸国との外交にも努力し、平和の維持、国民の幸福に努力してもらいたいものである。