ミス・ユニバースとミスワールド

 昨年のミスユニバースの日本代表にアフリカ系アメリカ人と日本人の混血の宮本エリアさんが選ばれ、話題になったと思っていたら、今年のミスワールドの日本代表には、インド人と日本人の混血の吉川プリアンカさんがなったそうである。

 私は日本人でもこんな素晴らしい人が出てきたのだなと喜んだのだが、ネットの上では昨年もそうだったが、「日本らしさが何もない」とか「純粋の日本人を選べ」とか「純粋の日本人は優勝できないのか」などの書き込みがされているそうである。

 選択の基準がどうで、どのように選ばれたものかまったく知らないが、昔初めて日本人のミスユニバースだったかが出た時に、八等身という言葉がはやったことからすれば、二人とも遺伝的な素因もあって、平均的な日本人より、スタイルが良く、知性も優れていたからだろうと思われる。

 どちらの方も立派な日本人であり、日本の代表として何もおかしくはないと思うがどうであろうか。「純粋の日本人」を選べと言っている方はどういう人を「純粋の日本人」だと言われるのであろうか。

 この島国に住む人たちはおそらくほとんど全ての人が何処かから移住してきて混ざり合った人たちの子孫である。北方系と言われるアイヌ人に近い縄文時代からこの島に住んでいたような人や、半島や大陸あるいは南方から島伝いに渡ってきた人など、いろいろな人たちが住み着き、混血した子孫が日本人であり、いろいろな人たちの集まりであることを知るべきであろう。

 長年この島国に住んで世代を重ねてきた人が多いので、それらの雑多な人たちを日本人と呼んでいるだけで、この国で生まれた人も、一人一人でその由緒来歴は様々なのである。多くの人は帰化人であり移民であると言っても良い。移り住んできた時代や過程が違うだけである。

 この国に住み、この国の国籍を持っていれば、何時からこの国に住もうが、皆同じ日本人である。住み始めたのが早いか遅いかの違いとも言える。同じ日本人と言ってもいろいろな人がいる訳で、いろいろな人がいる方が、いろいろな面で優れた素質に恵まれた人もいて、国にとっても何かと有利な面が多いものである。

「純粋の日本人」というものはおらず、何世代かをこの国に住んできた人たちが多数を占めるというだけで、それに当てはまらない日本人も多い。人々の来歴を辿れば様々でばらつきが大きい。古い人も新しい人も、それらをすべてひっくるめた日本人がいるわけで、それらはすべて「純粋な日本人」である。

 差別する必要はないし、どこで線を引くか、差別の基準も決められない。差別はは全体としての日本人にとって不利ともなる。新しい移民が加わることが、この国に住む人たちの素質を伸ばすことにも繋がる。その現れがミス選出の結果であり、優秀なスポーツ選手の出現であるとも言えよう。 

 純粋な日本人などとケチなことを言わずに、我々の同胞にもこんな素晴らしいミスユニバースやミスワールドがいるぞと自慢してよいのではなかろうか。