核兵器廃絶に反対する安倍政権

 今年はオバマ大統領が広島を訪問し、核兵器廃絶へ向けての演説を行い、安倍首相も先日の参院議員選挙の自党の宣伝にも大統領とのツーショットの写真を利用し、広島での追悼式でも「核兵器のない世界に向けて新たな一歩を踏み出す年に・・・」と言っているのだが、日本の政府が本当に核兵器廃絶を望んでいるのかどうか、世界の目は怪しんでいるようである。

 少し前に国連で行われた核廃絶の会議に、アメリカが出席しなかったのはともかくとして、日本は核廃絶へ向けての決議に棄権しているのである。どうやらこれまでもずっと同様な決議などには棄権しているようである。理由はアメリカの核の傘に依存しているためである。

 しかも、最近わかったことは、オバマ大統領が「核兵器なき世界」を掲げて核の先制不使用を宣言し、象徴的な政策にしようと検討している中で、安倍首相は「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」というので反対する意向をハリス米太平洋軍指令官に伝えたそうである。

 直接原爆の被害に遭い、多くの犠牲者を出し、「再び過ちは犯しません」と誓い、国民がこぞって核兵器のない世界を望んでおり、しかも5年前には福島の原発事故で放射性物質拡散させ未だに人の住めない地域を作り、事故原発の処理も済んでいないのに、政府は表面的には広範な国民の願望に同調する姿勢を取りながら、実際にはあくまでもアメリカの核の傘に依存し、それがなければ自らの核兵器をも否定しないが如き政策を進めようとしているようの見える。

 この核兵器の先制不使用の宣言についてはアメリカの国内でも、ヨーロッパなどでも反対の声もあるようなので、今度どうなるかは不明であるが、田上富久長崎市長は8月10日、松井一実広島市長と連名で、米の先制不使用の実現を後押しするよう日本政府に求める要請書を安倍首相らに出しているし、多くの国民が核兵器廃絶への一歩として望んでいるところである。

 それを無視した安倍内閣の行動が決して国民の願いに向き合って努力しているのではなく、アメリカ追随の自分たちの利益のためだけに動いていることがわかる。核廃絶の国民の長期にわたる切実な願いも政府がそれに答えなければ、世界の支持は得られないのは当然であろう。

 今日インターネットにこんな書き込みがあった。「原爆を落とした国の大統領が核の先制不使用を進めようとするのを原爆を落とされた国の首相が止めようとする。情けなくて涙が出る。英霊たちも泣いているだろう」と。