姫路城一周

f:id:drfridge:20160330135115j:plain

f:id:drfridge:20160330140404j:plain

f:id:drfridge:20160330140430j:plain

 昨日、暖かくなってきたし、天気も良さそうなので、朝早く家を出て姫路城へ行ってきた。過去にも何回か行っているが、世界遺産に登録され、平成の大修理が終わって、以前よりも真っ白になったお城を新幹線の車窓から何度か眺めていたので、一度訪ねてみたいと思っていたこともあった。

 大阪から姫路までは新幹線で行けば三十分ぐらいで着くが、急ぐわけでもなく、新大阪まで行くこともないので、大阪駅から新快速で行った。丁度一時間ぐらいである。

 朝まだ七時前の電車だったが、通勤客らしい人たちで満員。神戸を過ぎたら少し空くのではないかと期待していたが、終点の姫路まで入れ替わり立ち替わり乗客の乗り降りが多く、朝早くからよく利用されていることに驚かされた。

 姫路到着が八時頃。あまり早くお城に行ってもまだ入れないだろう。早くても九時頃しか開かないだろうと思い、時間潰しに駅の辺りを見物することにした。

 過去の印象では姫路駅前は狭くて、ごちゃごちゃしており、駅前のすぐ近くに山陽電車のデパートがあり、その下辺りから地下への階段を降りて駅に行ったような印象だったが、いつの間にか駅の周辺がすっかり整備され、見違えるようになっていた。

 駅舎の内部も立派になっていたし、外もすっかり変わって、駅前広場や、それを跨いで山陽電車の方へつながる立派な通路なども出来、駅前の建物も皆新しくなったようで、駅舎の2階からお城が真正面に見えるようになっていた。

 まだ早かったのでまだどこの店も閉まっているので、駅の辺りを少しうろついた後、大通りに沿ってお城の方にのびるみゆき通りの商店街を少し覗いてから大通りに戻り、お城へと歩いて行った、みゆき通りは明治天皇が姫路へ来た時に作られたのでその名があるようだが、ここは以前とあまり変わらない様子だった。ところが大通りへ出ると沢山な人がお城の方に歩いて行く。一瞬こんなに早くどこへ行くのかと思ったが、皆観光客のようでお城に向かっているようである。それなら一緒にと彼らについて行く。

 お城に近づくにつれ人も増える、近ずくともう警備員があちこちに立って誘導している。城内に入るともう「左側通行してください。」「入場券の他に整理券が必要です。」「整理券は後で回収しますので無くさないでください」などとマイクが告げる。

 自然に気が急き立てられるが、それでも入場券売り場ではまだ並ばなくても切符が買えた。そこから先はもう天守閣へ通じる道で天守閣に登って降り外へ出るまで一方通行になっている。天守閣に入る手前で、靴を脱いで袋に入れて持ち、入り口で整理券を渡して中へ入る。ふと横を見ると天守閣に入る人数を制限しているようで、外に順番を待つ人の並ぶ場所が広々と用意されていた。私たちは早かったから良かったものの、きっといつもは大勢の人があそこに並ばないと天守閣に入れないのだなと盛況時が想像された。早く来て良かったのである。

 天守閣の中も昔は自由に動き回ることができたが、今は完全に一方通行になっている。昔フランス人の夫妻を連れて来た時には、あまり急な階段をいくつも登らねばならないことに閉口して、夫人の方が私はここで待っていると言って座り込んだことを思い出した。

 天守閣の中は以前と同じで、色々な仕掛けや説明があり、窓から外を眺めることも出来るが、特別に目新しいものがあるわけではなく、人に押されるように急な階段の上り下りに疲れただけのようなもので、早々に外の広場へ出てベンチに一服した。

 そこから見上げる天守閣はやはり大きく、優雅である。大阪城天守閣より美しい。以前より今回の修理で屋根の瓦まで白い漆喰でしっかり固めたためか、以前より全体が真っ白になった感じである。瓦の黒と白のコントラストが強い方が引き立つ感じもするが、白鷺城とも言われてきたのだから、おそらくこれの方が歴史に忠実なのであろう。

 観光客は思い思いに写真を撮っている。春休みのせいか家族連れも多い。サッカーボールを持ってきていてそれに片脚を乗せてポーズを撮って貰っている子供もいた。世界遺産ということで外国人も多いようである。英語、ドイツ語、中国語などが聞こえてきた。

 しばらくベンチでお城や観光客を眺めながらお茶を飲みクッキーを食べて休憩した後、西の丸庭園の方に行き、千姫のために建てられたという西の丸御殿跡や百間廊下を見学した。桜の花はまだ少し早かったが、こちらでは三分咲きぐらいのものもあり、こちらからの天守の眺めも良いので、もう少し後にくれば良い観光写真が出来たのではなかろうかと思われた。

 これで一応姫路城の観光は終えたことになるが、せっかく姫路まで来たのだし、姫路城の北側には行ったことがないので、この際姫路城を一回りしてみてはどうかと思ってまずは東にある昔の姫路連隊の跡の煉瓦造りの美術館を覗き、次いでその北にある歴史博物館を訪ねた。こちらはいつできたのか知らないが、なかなか洒落た近代的な建築である。

 それに続くお城の北側一帯は、知らなかったが、ここも広い公園になっている。ただし、ここまで来るともう観光客はいない。しかし結構人はいて、よく利用されているようである。どうもお城の南側は観光客で賑わい、北側は地の人たちがゆっくり楽しむ所と棲み分けているようである。所々に満開の桃があったり、木蓮があったり、咲きかけた桜などもあり、綺麗な草花の植え込みもあったりし、多少の起伏も造られている。また、こちらの北側から見る天守閣も違った美しさを見せてくれるし、結構楽しい公園になっている。

 この公園と堀の間の道を西へ進んでいって、ふと堀を見ると鯉がたくさんいる。ほとんど黒い鯉ばかりなので目立たないが、何十匹というのではなく、何百匹という単位でいるのではなかろうかと思われる。ある所では何十匹という鯉がぴったり体をくっつけ合って集まり、餌を求めているのか、代わる代わるに口を開けている姿が壮観でさえあった。

 そのまま進んで、お城の西北端まで行くと、そこで北から流れてきた船場川に出会い、そこから堀も南に向かい舟場川と堀が並んで走る格好になる。その堀と川の間に狭い遊歩道が作られており、どういう謂れがあるのかは分からないが、「千姫小径」と名付けられている。桜並木になっており、両側に水の間の道でなかなか風情がある。川の向こう側は人家が続いているが、お城の方には西の丸の百間廊下のある城郭が見渡せる。桜が満開になれば絶好の散歩道になることは間違いない。

 両側の水路ともに、ここにも鯉が沢山いるし、川には鴨もいた。またある場所では、棲み分けているのか知らないが、鯉がいなくて亀がいる場所もあった。堀で水が深く、お寺の池などのようにどこにも水面から出た岩や島がないので、甲羅を干す所がないが、そのかわり、ここの亀は水面のすぐ下で首も手足も甲羅から出したまますっかり力を抜いてだらりとして気持ちよさそうにじっと水中に漂っている姿が見られた。二、三匹が同じような格好をしていて、いかにも気持ちよさそうで、亀にもこんな休み方もあるのだなと感心させられた。

 このお城の西側を南北に貫く「千姫小径」はお城の南西角まで続き、そこからは国道二号線の建設で埋められてしまったお城の南の城壁跡に沿った道に出て終わりとなる。そこから二号線を東へ向かって進み、南から来る姫路駅からお城までまっすぐ通じる大通りへ来てお城を一周したことになった。

 この一周はもっと遠いかなと覚悟していたが、変化に富むためか、ゆっくり休み休み、見学しながら回ったためか、案外早く気持ちよく回れた。

 後は少し疲れたので、みゆき通りで昼飯を食べて早い目に大阪へ戻った。それでもやはり姫路は遠い。家に着いたらもう三時前になっていた。こうしてたちまち楽しい一日が過ぎたという次第である。