イスラム国で拘束された二人

 イスラム国で二人の日本人が拘束され身代金を要求された映像が流れ、いろいろな情報が飛び交っている。しかし、殆どの情報はごく表面的なことや細切れなもので、欧米系大手メディアから貰った偏った間接的な情報しか入らないので正確なことが掴みにくい。

 イスラム国というもの自体が多くのニュースでは悪の帝国のように描かれているが、実際はどういうものなのか分からない。世界中から多くの若者が密出国してまでそれに加わっているのは何故なのか、どういう魅力があって行っているのかわからない。

 アメリカ軍が誤ってとしてイスラム国の軍隊に武器を投下したというニュースなど聞くとアメリカが裏でイスラム国と繋がっているのかも知れないとも思える。イラク戦争の失敗以来、中東の情勢はますます複雑怪奇で色々な勢力が色々な思惑で色々な戦いを繰り返しているようである。

 捕まった日本人も普通の個人がたまたま捕まったというようなものではなく、実は二人はこれまで何度も一緒にイスラム国に入っているようで、湯川氏は英語力も十分でないので、後藤氏がいつも世話をしていたとかも言われる。

 昨年には先に捕まった湯川氏がスパイの疑いで裁判にかけられることになり、アラビア語に堪能な常岡と中田と言われる学者が通訳を依頼されたとかで、二人でイスラム国に赴いたが、アメリカの爆撃などで裁判が延期になり、引き返して来たこともあるそうである。また、後藤氏はイスラム国に入るのに個人では疑問がつくような高額な保険をかけていたとかも言われている。

 インターネットなどからはこんないろいろな情報が得られるがどこまで本当かわからない。しかし、これらの情報などから想像すると、捕まった二人は個人的な動機で危険を冒してイスラム国に行ったわけではなく、どうも何らかの組織の背景の下にその要員として送り込まれているのではないかと想像される。日本のCIAの要員だとする説も書かれていた。

 新聞などの報道ではそこらの解説がないので、まるで個人的な興味で最近行って、たまたま捕まったかのような印象が強いので、インターネットなどでは、また「自己責任だ」という声も上がり、政府が助ける必要もないとする無責任な書き込みも多く見られる。

 もちろん政府としては動機が何であれ捕まった日本人を何としてでも救出する義務があるが、彼らが仮に裏の隠れた機関の要員であるとすればなお更であろう。ただ、イスラム国との接触の困難さに乗じて、二人を見殺しにして、この事件を「集団的自衛権」活用の足がかりとして利用しようとする政府の思惑の可能性も否定は出来ない。

 何れにしても政府は表面的な事実しか言わないし、日本のメディアは欧米系の大きなメディアから貰ったニュースしか流さないので、実際どういう経過でどうなっているのか、見通しはどうなのかなど全くわからない。

 日本のメディアの中東への関心が薄いこともあろうが、もう少し視聴者や読者に判断材料になる資料を提供すべきではなかろうか。未だ「大本営発表」に流れがちな日本のメディアの怠慢でもある。