迎撃ミサイルでミサイル攻撃から日本を守れるか

 今朝インターネットを見ていたら迎撃ミサイル搭載のイージス艦海上自衛隊が配備する予定だとして、その働き方を図解していた。それによると、航空機や艦船などで敵がミサイルを発射したのをいち早く探知して迎撃ミサイル搭載のイージス艦に知らせ、その知らせを受けたイージス艦から迎撃ミサイルを発射して攻撃してきた敵のミサイルを撃墜するということらしい。

 しかし、不思議に思うのは日本の周辺から発射されて一分間に400km以上ものの速さで飛ぶミサイルが日本に届くまでの時間は、大陸からでも半島からでも2〜3分しかない。平壌と大阪は990km、東京でも1,190km、上海と福岡は東京と福岡と同じ位しか離れていないのである。

 その間に発射の探知、それも向こうが打ち上げを予告してくれるわけではないので打ち上げられてからしか探知出来ないし、こちらを目指しているミサイルかどうかの判断に要する時間もいる。その後にミサイル迎撃イージス艦に連絡し、イージス艦の方でも発射の判断が必要になる。いくらすぐ発射出来るように準備がしてあっても、短時間でも位置を確認して発射するための時間もいるであろう。

 そんなことを考えると、実戦で2〜3分の間にこれだけのことが全て完了出来るとは考え難い。素人の考えであるが、この時間の問題を解決する特別な方法は考えにくいのではなかろうか。

 そもそも迎撃ミサイルの考え方は本来大陸間核ミサイルのような遠距離の場合の発想から来ているのであり、近距離のミサイル対策は先制攻撃か被攻撃側の移動しかないのではなかろうか。

 そうとすればこの日本の迎撃ミサイルイージス艦構想は日本の防衛には間に合わないのではなかろうか。日本がアメリカ軍へのコミットを深める段階で出てきたこの迎撃ミサイルイージス艦は日本を守るためではなく、アメリカ本土なりグアムやハワイなどのアメリカ軍基地を目指すミサイルをアメリカの前線基地である日本近辺で撃ち落とす為のものと考えたほうが良さそうである。

 日本のミサイル迎撃イージス艦は日本近辺で、日本を越えて飛んでいくミサイルを太平洋のどこかで撃ち落とす役割を演じさせられることになるのではなかろうか。日本がアメリカの保護国でアメリカのアジアにおける橋頭堡であり、日米同盟を双務的なものにするためには、それも止むをえないことであろうか?