熱中症予防避難所

 ここのところ、全国的に体温を超える37度とか38度、所によっては39度のような暑さが続いている。この分では、きっとそのうちに40度を超える日も出るのではなかろうか。

 テレビでも「危険な暑さです。頻回に水を飲んで、適切に冷房を加減して下さい。老人は出来るだけ外出は控えて、家に止まって下さい。」というようなことを繰り返して警告している。

 昔はいくら暑くても、こんな高温の日が何日も続くことはなかった。このようになったのは、まだここ数年のことに過ぎない。地球温暖化はどうも確実に進んでいるようである。

 来年のオリンピックが心配になるが、それから先も、これ以上に酷い夏が続くようになると、人々の生活や社会にも大きな影響が出てくるのではなかろうか。

 冷房に頼らざるを得ないであろうが、冷房のない家、エアコンの買えない家はどうすればようのであろうか。家の中で熱中症になって死んだ老人もいる。たとえエアコンがあっても、24時間つけっぱなしにしておくわけにもいかない。健康の問題よりもお金の問題である。

 貧困高齢者が増え、100人の高齢者のうち3人が生活保護受給者という統計もある。生活保護費でエアコンを買い、24時間それを使うことが出来るだろうか。貧しい老人にとっては、これまでは冬の寒さこそ問題で、夏は裸で出来るだけ外で暮らせばまだ何とかなったが、今のような酷暑が長く続くと、冬より夏の暑さの方が問題になる。貧しい老人たちはどうしてこの酷暑に対応すればよいのであろうか。

 市役所や図書館、駅の待合室などや街のショッピングセンターなどへ行ってごらん。このところ、どこも老人で一杯です。市役所の窓口の前には順番待ちの市民が大勢椅子に座っているが、この暑い季節にはいつまでたっても動かない人もいる。お金の要らないクーラー付きの休憩室として利用しているのである。

 図書館などでも、本を探しに来ている人より、涼みに来ている人の方が多い。どの椅子も満員で、後から来た人の座るところもない。それもなかなか空かない。ショッピングセンターなどでも、買い物客の休憩用に置かれた椅子も、何処も老人で満席である。

 こういった公共のスペースは用がない人が入ってきたからと行って締め出すわけにはいかない。業務に支障がなければ、むしろこういった所を積極的にPR して、利用してもらうようにすべきであろう。こういう公共機関の冷房に頼るよりないの人も多いはずである。

 それに各コミュニティにある地域センターなどに冷房完備の空間を設置して一般住民に解放し、冷房を持たない人が日中の暑い時間帯だけでも、涼みに来れるような、言わば熱暑の避難所を設置して、熱中症予防に役立てるのが良いのではなかろうか。

 体温を超えるような暑さはもう立派な自然災害である。地震津波、台風や大雨に対する避難所同様に、避難所を考えるのが良いのではなかろうか。身近な避難所を気軽に利用する習慣をつけておけば、何かの災害が起こった時にも、住民に利用して貰い易いというメリットも生まれるのではないだろうか。

 酷暑の続く日に、自宅で熱中症で死ぬ老人をなくすためにも、是非熱暑の日に避難出来る「熱暑避難所」あるいは「熱中症予防避難所」を整備するとともに、その存在を住民にPRするようにして欲しいものである。