老人の受難の時代

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 少子高齢化が進み、社会保障が破綻しかけており、政府は老人保険や年金の支払開始を遅らせ、定年を延長して、70歳まで働いて貰おうという考えが強くなってきた。70歳までは年金を貰うどころか、社会保険料も払わなければならないことになる。

 それでも足りないので、老後に備えて自分で投資して2千万円は用意しておけと金融庁は言い出している。いつの間にか百年安心プランなどと言っていた老齢年金もどこかへ消えてしまった。

 金融資産が0という世帯が3割を占める中で、これだけ貯蓄の出来る人がどれだけいることであろうか。正規雇用が減り、国民の4割が非正規労働で、千円に満たない時給で、ボーナスもない。そこへ消費税も10%に上がる。 

 定年延長や定年後の再雇用と言っても、給与は半減、自分より若い者の命令で働かされる。年金の支払い開始は遅れて、減額されるだけでなく保険料は払い続けさせられる。嫌でも働かざるを得ない。それでも会社から見れば、老人の働く効率は悪いであろう。

 健康な老人でも、折角それまで全力疾走してきたのに、もう10km走れと言われるようなもの。やれやれと思う定年後の65〜75歳の、まだ元気で体力も残っている間の老後の折角の楽しみも奪われ、働かされることになる。

 それでも、元気であればまだ良いが、皆がそうはいかない。老人の健康には個人差が大きい。多くの老人は健康問題を抱えている。老化が早く進む者もいる。若い時から健康に気をつけていても、先天的な遺伝的要因、自然環境ほか、過労や作業環境などの歴史も人様々で、誰しも歳をとれば若い時からのツケが廻って来るものである。

 そこへ来て、現代の老人は子や孫に囲まれた昔の老人ではない。家族の崩壊による単身者も多く、孤独で家族にも頼れないのが普通である。 健康に応じて働いて貰うといっても、健康状態も社会的な条件も人様々で、一概には言えない。

  そう言ったばらつきの大きな高齢者に対しても、社会制度は平均的な多数者を基準に決められるので、ばらつきの大きな老人の場合には、若者と違って、その周辺にいるハンディを持った老人が多くなる。結果として、そうした病弱な老人たちも、食うためには自ら老いに鞭打って働かざるを得ないことになる。

 今後の老人は80歳まで働いて、社会保険料を払い続け、その上に自助努力で2千万円の蓄えを作って、ようやく老齢年金を貰えることになった時には、多くの人は最早寿命が尽きているという仕組みになるのであろうか。

 しかも、政府は年金資金の運用に失敗して8兆円もの損失を出した責任も取ろうとしない。これでは百年安心プランと思わされ、せっせと保険料を払って来た者にとっては国家的な詐欺だったということになるのではなかろうか。

 

 

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