苺スプーン

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 苺スプーンって知ってますか?写真のようなものです。何処の家にもあって当然な食器の一つだと思っていたら、最近では知らない、見たこともないという若い人も多いと聞きびっくりした。

 私がまだ小さかった頃、まだアメリカとの戦争が始まる前に、苺狩りに行ったことを覚えているが、その頃から苺はヘタを取って、練乳をかけて潰して食べるのが普通であった。その時、苺を潰して練乳と混ぜるのに使うのが苺スプーンである。

 それ以来、私は苺は必ず苺スプーンを使って食べるものと思い、この歳になるまで、ずっとそれを守ってきたが、最近の人は苺を潰さずに、直接、楊枝なり、フォークで刺してそのまま食べるようである。

 私流に食べるのはもう流行らないそうである。昔とは苺が違っていて、最近のものは昔より大きく、酸味が少なく甘いので、ミルクや砂糖をかける必要はなく、そのまま食べても美味しいのだそうである。

 昔の苺は酸味が強かったので、ミルクや砂糖をかけないと美味しく食べられなかったのでそうしていたが、今はそんな必要がないのだという。しかし、今でも苺はやっぱりミルクをかけて潰して食べるのが一番美味しい。その時に使うのが苺スプーンであり、我が家では昔からずっと使っており、これなしで苺を食べることなど考えにくい。

 普通のスプーンでは苺を潰しにくいが、スプーンの丸くなった下面が平坦ないし少し凹んで平らになっており、しかもそこの苺のタネ粒のような点状の凹みがいくつも設けてあり、苺が滑らないようの押さえつけて、潰しやすいような構造になっているのである。

 苺専用のスプーンなので、近頃にように苺を潰さないでそのまま食べる人が多くなったらもう要らなくなるので、こんなスプーンはもう売れなくなっているのではないかと思ったが、実際は今でもなくならずに、一定の需要が続いているそうである。

 何故だろうかと思って調べてみると、最近はこのスプーンは苺に使うのではなく、離乳食だとか、老人の誤嚥防止のための流動食を作るのに、ジャガイモだとか人参などを潰すのに便利なので、そんな違った目的に使用されているからだと教えてくれた。

 なるほどなと感心するとともに、この昔ながらの苺スプーンがなくならずに健在であることを嬉しく思い、苺はやっぱりこうして食べるのが一番と言いながら、苺スプーンで潰して練乳をかけて苺を楽しんでいるこの頃である。