国の嫌がらせ

 新聞によると日本の厚生労働省は6月から養殖ヒラメなど韓国産の水産物を輸入する時の検査を強化するそうである。理由として、夏の食中毒に向けた衛生対策という。韓国産ヒラメに新たな問題が見つかったわけでもないのに何故だろうかと思ったら、福島原発事故による被災地などの水産物を韓国が今だに禁輸している事への対抗策らしい。

 この韓国の禁輸措置については、その解除をめぐって日本がWTOに提訴したが、韓国側の禁輸措置が容認され、日本が敗訴したばかりである。新聞によれば、今回の日本の検査の強化は首相官邸幹部も韓国の禁輸に対する事実上の対抗措置であることを認め、「『報復か』というメデイアの書き振りで丁度よい」と語っているそうである。

 これを取引材料にしようという腹なのであろうが、何も新たな変化もないのにわざわざ問題を作って対抗手段にしようというのは、まるで子供の喧嘩の嫌がらせのようなものである。

 国が当然勝つだろうとして、韓国の禁輸措置解除をWTOに提訴したのが破れたからといって、それ相応の相手の弱点をつく対抗策でもなく、単なる嫌がらせのようなことをするのは幾ら何でもみっともない。国がこんな子供じみた嫌がらせをするとは、恥ずかしい気がする。

 堂々と論議を尽くして反論するなら良いが、反論の余地がなくなったからといって、何も問題のないところで嫌がらせをするのは大人のすることではない。国がこんな子供じみた嫌がらせをするとは、国民として恥ずかしい。国はもっと大人として堂々と振舞ってほしいものである。