平成から令和へ

 10連休でまるで年末年初の様な感じだが、5月1日の新聞はひどかった。天皇の退位の儀式を中心にして天皇の交代の記事ばかりで、あとはスポーツ記事で普通の記事が殆どないといった感じ。まるで世界は他には何事も起こっていない様な感じである。

 おかしいなと感じたのは私だけではあるまい。令和の年号を決めるのに安倍首相が音頭をとって大騒ぎしたが、年号が変わったからといって急に世の中が変わるはずもない。年号と西暦の併用は煩わしいだけである。外務省でさえ西暦だけにしようという動きがあったぐらいである。

 それに今度は天皇の退位や即位の一大イベントで、社会に大きな負担をかけることがわかりながらの十連休である。新聞やテレビで囃し立てて、国民をお祭り騒ぎに駆り立て奉祝ムード一色で、モリカケやカケイ、それに統計不正問題などの忖度政治をいっぺんに忘れさせ、まるで新しい時代が来るかのような幻想を抱かせる仕掛けである。

 戦争に反対し、憲法を守り、沖縄に心を寄せる平成天皇がいなくなり、新しい天皇を迎えて、新しい時代がやって来るというムードを盛り立てて、新しい時代に合わない古い憲法はもう変えましょうというムードを作って行きたいのであろう。政府の世論操作に多くの国民が乗せられているようで恐ろしい。

 そのためか、テレビなどが折角平成を振り返る番組を一斉に流しているのに、自然災害の多かったことや、少子高齢化、経済の停滞のことは放送しても、原発事故や沖縄の基地問題などについては忖度なのか、意識的に殆ど触れないようにしていたのが気になった。

 これからは、政府や日本会議神社本庁など右翼が新しい天皇を取り込んで、戦前に逆戻りするような世界にしようとする動きが強くなるのではなかろうか。多くの国民の願いを踏みにじって、政府が憲法改正へ向けての勢いを増してくる恐れに十分注意すべきであろう。