日本の恥

 下記のような記事をSNSで見て驚いた。開発途上国での話かと思ったら日本、それも来年にはオリンピックをしようという東京での話である。

 『東京入国管理局で12日、長期収容されているクルド人男性が体調の悪化を訴えたにもかかわらず、同局長の判断で家族らが求めた医療を受けさせませんでした。同局の前で、家族や友人、支援者らが夜を徹して「病院に行かせろ」と要請。夜に2度、救急隊が施設の中へ入りましたが、本人との面会すら拒否。男性は、13日の昼すぎに病院へと搬送されました。

 体調が悪化した男性は、同施設に約1年2カ月収容されているチョラク・メメットさん(39)です。12日の午前、家族との面会中に「息が苦しい」と語り、その後に体調の悪化を訴えました。午後から、家族が面会や安否確認を再三求めましたが、入管側は「問題はない」などの対応に終始しました。

 13日の朝、家族と一緒にメメットさんとも面会した「#FREE USHIKU」のメンバーは「面会所には車椅子で現れ、言葉少なに病状を訴えていました。本人は、施設内での医療は精神科医の診察と、夜に入管職員から鎮痛剤を与えられただけだと語っていました』というものである。

 この問題は、13日の衆院法務委員会でもが取りあげられたようで、弁護士らが緊急共同声明を発表し「被収容者の生命・健康に全責任を負うはずの入管が、病状を心配した知人が呼んだ救急車を医師の判断によらずに2度も追い返したのは言語道断」と非難している。

 入管の収容者に対する態度はこれまでもしばしば問題になっており、昨年秋には山本太郎氏も国会で取り上げており、それによると、昨年の4月には東日本入管センターのシャワー室で30代のインド人男性が首にタオルを巻き付けて自殺。命からがら脱出、他国の庇護と援助を求めてやってきたのに、24時間監視体制の下、鉄格子、施錠をした部屋で罪人のような取扱い。出身地、言語、宗教、生活習慣を無視した状況で、5名1組ほどでごちゃ混ぜに強制的に収容され、自殺の前日、仮放免申請の不許可を通知されたのだという。

 また、2014年3月30日には、東日本入管センターでは、カメルーン人男性が、死にそうだと痛みを訴え七転八倒する姿を入管職員が監視していながら、12時間余り放置、死に至らせたことも起こっている。

 さらに、2017年3月16日に東京入管から、同じ東日本入管センターに移されたベトナム人男性が、NGOによる聞き取り調査等によれば、男性が頭痛などを訴え、17日夜若しくは18日には口から血を吐き、泡を吹き、失禁。それまで収容されていたブロックから個室に移されただけで、2017年3月18、19、20日は3連休。その後も頭痛、頸部痛などを訴えたが、外部の病院には運ばれず、連休明けに来た施設の医師が診察、痛み止め、湿布を渡されて終わり。男性が痛い、痛いと叫ぶのに対し、職員は「静かにしろ」と言うのみで、同月25日死亡、死因はくも膜下出血であった例もある。

 更には、証拠保全された中にDVDまで存在した由で、男性が苦しみ、もがき続け、動かなくなるまでが記録された監視カメラの映像を山本議員も見ているという。

 こうした結果、全国の入管で、平成29年における自傷、自殺未遂の合計件数は44件。それにもかかわらず、なかなか医療につなげてもらえない。全国に収容施設17か所、そのうち24時間医師が常駐している施設は一つもなく、4、500人以上収容されている東京入管ですら週3日、午後だけで、それより医療を受けさせてくれと言ってもなかなか受けさせてもらえないのが問題と言われている。

 このような、数々の行き過ぎた入管の状況に対しては、国連からも、拷問禁止委員会から2度、移住者の人権に関する特別報告者の報告、人種差別撤廃委員会の総括所見、国連人権理事会からなどもと、再三懸念を示されているのである。

 それにもかかわらず、状況は改善の兆しなく、平成28年8月31日発付の法務省入国管理局総務課長、警備課長名では、「被収容者の適正な処分に係る経費について」という通知が出され、薬品等の使用機会の減少に努めることとか、入院・通院治療費では、外部医療機関の受診を抑制するよう努めることとあり、個別施設において急激な費用上昇が見られる場合は、収容者管理状況に問題がないか等について改めて確認するとまで書かれている由である。

 これが世界中の人々の人権を守る憲章を掲げてオリンピックを開催しようとする文明国のしていることであろうか。まさに日本の国の恥である。早急な改善は望めないのであろうか。