”陸自砲弾それて車に被害”を聞いて沖縄を思う

 11月15日の新聞にこんな記事が出ていた。滋賀県高島市陸上自衛隊の演習場で、射撃訓練中に発射した81ミリ迫撃砲の弾がそれて、国道脇に着弾し、アスファルトなどの破片が演習場外に停車していた乗用車に当たり、後部座席の窓ガラスと窓枠が割れたということである。弾は実弾だったが幸いけが人は出なかったという。

 訓練では弾がそれても演習場内に収まるよう、目標区域の外側に安全区域を設定しているが、こういうことが起こりうるのである。陸上自衛隊はこの81ミリ迫撃砲は当分、全国的に使用を見合わせるそうである。

 実弾の演習であるから、不慮の事故が起こらないように最大限に配慮をすることが基本であり、当分迫撃砲の使用を見合わせ原因究明や再発防止策をとるのは当然であるが、どんな仕事にしても事故はありうるものと考えるべきであろう。

 事故のあった場所は、私も近江今津から小浜へ行く時に通った所で、その時は自衛隊の演習場が近くにあることなど全く知らなかったが、米軍や自衛隊の施設があちこちのあるので、今後も何時何処で危険にさらされる恐れがあることも知っておくべきであろう。

 それでも、これが自衛隊の仕業でまだ良かったが、米軍の演習の事故であれば、被害があっても日本人はオフリミットで、事故現場は米軍によって管理され、日本人は警官であろうと入れないのが普通である。

 事故の補償も米軍と日本政府の話し合いになるので簡単には行かないし、米軍は責任を取らず、日本政府が賠償金の肩代わりをすることになるであろう。人的損害があっても、日本政府が肩代わりして支払うことになると思われる。損害の性質によっては、泣き寝入りさせられることもありうるであろう。

 自衛隊であろうとこのような事故は絶対避けるべきで、事故の原因の解明や再発防止の手段が取られなければならないのは当然であるが、こういう事故があっても、日本の自衛隊であるから事故を起こした迫撃砲は当分使用禁止になるものの、沖縄では米軍は事故を起こしたからといって、使用禁止になることはないだろうし、事故の調査のための立ち入り検査も認めるとは限らない。

 沖縄では、米軍家族の住む地域では、アメリカの法律に従い低空飛行などの制限が行われているが、それ以外の日本人の住む場所では低空飛行も日常のことで、幼稚園への落下物に対する抗議の後も、平気で上空飛行を行っている実績がある。

 日本政府は沖縄に米軍基地を集中させ、本土の負担を軽減して国民の目をごまかし、沖縄と本土の分断を続けているが、日米地位協定などの法的には、本土も沖縄も変わりはないわけで、日本国中どこでも同じようなことが起こる可能性があることを知るとともに、長期間にわたって苦しめられている沖縄の人々の苦痛も決して他人事ではないことを認識すべきであろう。

 これを機会に、この事故を放置せず、沖縄との連帯を深める機会とし、共に戦争に反対し、日米地位協定の改定を求め、本土でも沖縄でも人々が戦争のための兵器の事故などに脅かされることがなく、安心して暮らせる国にするよう声を上げよう。