オリンピックは秋にするかやめるか。競技よりも人命が優先

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 ここのところ連日の猛暑で、この1週間に全国で熱中症による救急搬送数が22,647人にも及び、死者も65人も出たそうである。しかも40度を超えるような暑さがなお連日続いている。

 この異常気象は日本だけでなく、世界中で例年にない異常気象現象が見られているようである。テレビでも、毎日「命の関わる高温」で「災害」であるとさえ言っている通り、大変な状況が続いているが、それにもかかわらずメディアは2年後の東京オリンピックの前景気をつけようと騒ぎ始めている。

 しかし、オリンピックは丁度7月24日から始まるそうだが、心配なのはこのような酷暑の気候のもとで、果たして大丈夫なのであろうかということである。

 誰が考えても一年の中で運動には最も適していない大暑の時期に本当にオリンピックが出来るのであろうかと心配しないではおれないのではなかろうか。暑さ対策もそれなりに練られているようだが、今年のような暑さが続けば強行すれば、犠牲者さえ出る恐れも出てくるのではなかろうか。可能かどうかは別として、秋に延期するか、取止めるかも真剣に考えるべきではなかろうか。

 1964年のオリンピックは10月に行われたものであるが、今回の夏期オリンピックがこの時期に開催されるのは、オリンピックの商業化が進み、アメリカのテレビ局NBCなどの「夏枯れ」対策などによる影響が強いために、夏の真っ最中に行われることになったようである。

 しかし、そういう事情を十分知りながら、オリンピック誘致に向けて走った日本は、〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉と虚偽の説明をしてまで、「2020年東京大会の理想的な日程」として応募し、決まったものであるから、日本は責任を持って、何としてでもこの日程通り進め、成功させざるを得ないであろう。

 世界的なスポーツの大会であるから、世界中の人たちが楽しめるものにしなければ意味がない。ましてや、選手や観客に高温のための犠牲者が出るようなことがあっては本末転倒である。最悪の環境でも、参加するすべての人が競技を楽しめるような安全と快適な環境を保つことが不可欠であるが、果たして可能であろうか。

  英国の「タイムズ」紙は今年既に1月、「東京五輪では選手だけでなく観客も極度の蒸し暑さによる熱射病で死亡するリスクにさらされている」と報じているが、最近の猛暑を経験して、アメリカのウオールストリートジャーナル誌も「東京五輪の時期を再検討すべき」だと言っている。

 2年先のことであるが、今年のように災害とさえ言われるような酷暑の日が続いても、それが可能であれば良いが、不安が見込まれれば、潔く開催日を変更するか、中止する英断もぜひ今から考えておいて欲しいものである。オリンピックが悲劇の元となってはならない。最低限、選手や観客の健康の保全と安全は、主催国がいかなる状況のもとであっても守らなければならない責任であることを忘れてはならない。

 まさか、暑さに負けて欧米のトップクラスの選手たちがリタイアし、高温多湿に慣れた日本人が次々とメダルを獲得。そんな思惑があるとは思えないが・・・。