雨止まず

 雨止まずあちこち氾濫地獄絵図

関西ではなく関東のことではあったが、今年は例年よりも22日も早く梅雨明けしたというニュースを聞いて驚いていたら、そのすぐ後の3〜4日前から日本中がずっと濃い雨雲に覆われ、強い雨が降り続き、一向に止まないどころか、まだ明日も激しい雨が降り続くという。

 強い雨が何日も続くので、これではまたあちこちで川が氾濫したりして、被害が出るのではないかと恐れていたが、案の定、今朝からテレビはあちこちの川の氾濫や崖崩れを報じている。川に流されたり、山崩れで押し潰された家に閉じ込められて亡くなられた犠牲者の報告も続く。まだ行方不明とされている人も何人もいる。

 地震は急に来るから仕方がないとしても、大雨による被害は気象予報によってある程度予想可能で、しかも徐々に危険が迫って来るものだから、もう少し何とかならないものだろうかとも思うのだが、昔から分かっていて何度も繰り返しているのに、今だにどうにもならないようである。

 有史以来人類にとって治水は一番の政治的課題であり、堤防のかさ上げに始まり、ダムや池の造成、川の付け替えその他あらゆる努力を繰り返してきた結果がこれである。自然の力の偉大さと、人間のささやかな抵抗のの結果が現状である。

 家の近くを流れる猪名川も一昨日ぐらいには、もういつも散歩している堤防の下の川縁の道は濁流に隠れてすっかり見えなくなっていたので、その後も豪雨が二日も続いているので、そのうちに堤防を越える高さにまで水が溢れるようになって来るのではないかと心配したが、幸、今のところ何とか持ちこたえているようである。

 川沿いの高速道路の建設に伴って、川西側の方の堤防が嵩上げされたので、堤防の高さが池田側の方が低くなったので、川が溢れるとすれば池田側ということのなるだろうと密かに気になっていたのである。

 それは兎も角、テレビでは何十年振りかの大災害になる恐れがあると言って注意を促しているが、天候のような一見、単純そうに見える自然の変化も、人知の及ぶ規模を超えて、まだまだ人がコントロール出来るようなものではなく、人々はただ静かに観察して被害が最小になるように神に祈るより仕方がないのかも知れない。しかし、これだけ人による科学の理解や技術の進展の現状と照らし合わせれば、こんな予測可能な災害ぐらい予防する手はないものかと歯がゆくも思わざるを得ない。

 しかし、他方では、それこそが人間の傲慢さの徴候であり、人の小さな努力などとは桁外れの自然の偉大さ、複雑さを謙虚に受けとめ、自然の災害をも神の人に対する懲罰と知るべきなのかも知れない。