仁義なき戦い

 最近の森本学園問題に対する安倍政権のやり方を見ていると、あまりにも傲慢で、国民を侮り、人道にすら反しているのではないかと思わざるを得ない。国民はもっと怒るべきである。

 森友学園問題の経過については、広くメディアが伝えているので、ここで触れる必要もないが、もともと日本会議がらみの右翼で、安倍首相の信奉者であった籠池夫妻が、教育勅語を園児に暗唱させるような幼稚園をもとに、首相夫人を名誉校長に迎えて、それを利用して、同じ趣旨の小学校を建設しようという野望を起こしたのが事の起こりである。

 首相にも首相夫人にもその行き方を褒めて貰い、それに乗って、安く土地を手に入れようと近畿財務局に働きかけ、政治的な忖度(圧力)でもう少しで成功しそうだった非常識な取引がバレて問題となったものである。

 こうした政治的な裏取引が失敗すると、当然その責任が問題となるが、そうなると首相や官僚は手のひらを返して自己保身に走ることになる。これまで持ち上げて支援してきたのに途端に籠池氏夫妻に罪をなすりつけ、安倍首相も妻も関係ないと言って逃げ、官僚も首相の意向を忖度した取引の不正を糊塗して逃げようとする。それが公文書改竄となったのである。

 籠池夫妻は罪を押し付けられて逮捕されただけでなく、口封じのために、未決のまま一年近くも拘留し続けられるという普通には考えられない処置を受けている。これは人権侵害であろう。自分に都合の良い時には利用して、都合が悪くなると子分であろうと容赦無く切って捨てて保身を図ろうという人の道に反することも平気でするのは権力者の奢りであろう。

 さらに今度は公文書の書き換えが明るみに出ると、今度は自分たちが逃げるために足手まといの官僚をも切ることになる。折角、国会で「記録は捨てた」と言って秘密を守り助けてくれたので、その褒美に「適材適所だ」と言って栄転させた官僚までを、今度は文書改竄の犯人に仕立て上げて、自己保身を図らねばならないところまで追い詰められてきたのである。

 世間一般では、どこの会社でも何か重大なな不祥事が起これば、たとえ自分の知らない所で行われたにしても、社長が責任を取って、頭を下げて辞任するのが普通麻生である。麻生財務大臣は当然辞めるのかと思ったら、辞めないで原因の究明すると言う。原因究明は当事者ではなく、第三者委員会などを作って公平に進めるのが筋であろう。

 組織の長は部下を守るべきである。不祥事が起これば、部下をかばって自ら責任を負うべきである。身内を切ってでも自己の保身を図るのは人の道でない。公文書を改竄し国会を欺くことは国民を愚弄することである。問題ははじめから政治がらみであることは誰の目にも明らかである。安倍首相はかって自ら言った通りに責任をとって首相も国会議員も辞めるべきであろう。