明石市の子育て支援

 子育て支援が問題になっているが、新聞によれば、明石市では中学生までの医療費、第二子以降の保育料、市営施設の子供の利用料などを、全て所得制限なしで無料化しているそうである。

 泉房穂市長によれば、所得制限をつけないのは、所得制限をつけると、親の所得によって子供を勝ち組と負け組に二分することになり、子供を親の持ち物のように捉えることにも繋がるからという。子供全員を対象として中間層の子や孫にも恩恵が及ぶようにした方が、納税者として市の財政の支え手を担っている中間層の理解が得やすい利点もあったそうである。

 新聞によれば市長がこのような優しい社会や子供への強い思いを抱くようになった原点は、4歳下に生まれつき障害を持った弟がいたことで、養護学校を避けてなんとか地元の小学校へ行けるようになったが、兄である今の市長が登下校に責任を持たされ、冷たい視線を浴びながら弟と一緒に通学し、世の中の理不尽さを子供心に憎んだという経験にあるのだそうである。

 

 運動会で弟が走りたいというのを「迷惑をかける」と両親も自分もやめるよう求めたのを振り切って、弟は走ったが、皆に随分遅れて嬉しそうにゴールインした姿を見て涙が止まらなかったという。弟が笑われたらかわいそうと言いながら、本当は自分が笑われたくなかったのだと気付いたそうである。

 最後に、「幸せを決めるのは本人であり、それを支えるのが周囲の役割なのだ」と、言われていたが、それが上のような施策に反映しているのであろう。今まで知らなかったが、明石の子育て支援が成功することを祈りたい。最近あまりない良い記事を読ませてもらった。