日中韓のトランプ大統領への対応

 先日トランプ大統領日中韓三国を歴訪したが、その三国の対応の仕方を見ると現在の東アジアの情勢に鑑みて非常に興味深い。

 トランプ大統領が先ず日本の地を踏んだのは日本ではなく、日本にあるアメリカの領地とも言える横田基地である。そこで大統領は先ず大きな星条旗を背景にして、アメリカ軍の将兵をねぎらった演説を行い、そこからヘリコプターで安倍首相の待つゴルフ場へ向かったようである。

 日本側は下にも置かない丁重な迎えようで、天皇にも会わせたが、トランプ大統領の方からすれば、植民地の視察を兼ねた訪問で、おまけに北朝鮮の危機を煽って、ちゃっかりと高額な自国の兵器を売り付けたというところであろうか。何しろ大統領にべったり媚びへつらう従順な安倍首相の国では、ゆっくり寛げたのではなかろうか。

 それに対して、次に訪れた韓国は日本とはだいぶ事情が異なる。なにせ北朝鮮の最前線である。韓国と北朝鮮は隣同士の、すぐそこの地続きの国だし、元々一緒に行き来して暮らしてきた同じ民族がたまたま別れてしまっているだけなのである。それに、大国中国もすぐ横の地続きの国である。良くても悪くても、これらの国や人々に気を使わないわけにはいかない。戦争でも起きればたちまち首都であるソウルは焼け野原になるだろうし、その損害は計り知れないことになる。

 安倍首相が気楽にアメリカに乗っかって「話し合いの時ではない圧力だ」言っているのに同調するわけにはいかない。トランプ大統領に向かっても「戦争はするな」とはっきり言わざるを得ないし、軍の指揮系統についても主張せざるを得ないであろう。中国との関係も嫌でも調整しなければならない困難な立場にあるだけに、日本のように全てアメリカの言いなりになるわけにはいかないのは当然であろう。言うべき点を言ったという点では日本よりしっかりしているとも言えるだろう。

 最後にに中国であるが、中国は今や大国である。日本や韓国のようなアメリカの属国ではない。アメリカにとっても対等に渡り合って取引しなければならない国である。当然対処の仕方も違ってくる。中国がアメリカの要望を先回りして、三百台の飛行機などの五千万ドルとかの商談を持ちかけてアメリカの言う貿易不均衡の問題の肩透かしをするなど、今や堂々とあメリカと対等に渡り合える実力を示した。トランプ大統領も習主席を持ち上げてインド太平洋地域という言葉を使い出したものの、南シナ海の問題にも強くは出なかった。

 世界がどんどん変わって行っていることを痛感させられる。いつまでもアメリカ一辺倒で中国や韓国を敵に回していつまでも行けるはずはないであろう。すぐとはいかないでも、アメリカから独立して中国や朝鮮などとも関係改善を図り、アジアの中での友好関係を深め、アメリカとも対等に付き合って行ける日の来ることを念じて止まない。