トランプ大統領の訪日

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 トランプ大統領の訪日はわずか二日間に過ぎなかったが、日本側の対応は至れり尽くせりであった。大統領がアジアを歴訪するというので第一の訪問国が日本になるよう働きかけたのを皮切りに、前触れのごとくやってきた娘のイヴァンカさんの関連団体にポンと57億円もの寄付を申し出たのが前段階。

 大統領の日本で最初のスケジュールとしては、プロのプロゴルファーまで引っ張り出して、安倍首相とゴルフをするようにし、午後の首脳会談の後には、拉致家族と面会してもらい、夜は大統領の孫に人気があっったとかで、ピコ太郎まで呼んで晩餐会をしたりというもてなし方であった。親密さを感じさせようとした安倍首相の態度は、いかにも属國の大臣が宗主国の長に媚を売っている姿としか見えなかった。

 それに対する大統領は到着は当然横田基地であった。外国ではなく、ここはまだアメリカなのである。ここで基地に勤めるアメリカ軍人に軍服を羽織って演説し、遠い外地で働く軍人達をねぎらったのが最初である。そこから軍のヘリコプターでゴルフ場へ行ったのではなかろうか。外国の首脳を空港で赤じゅうたんを引いて迎える姿とは全く違っている。自分の領地へ行っている感じである。誰も注目しないが、あまりにも当たり前のことだからだろうか。

 ゴルフの後の首脳会談では、安倍首相は日本はアメリカの北朝鮮に対する圧力一辺倒に全面的に協力するとしたが、経済問題となると、トランプ大統領はビジネスマンらしく、そんな事より北朝鮮危機に漬け込んで大量の武器や油を売りつけることに成功している。自慢して上のようにツイッターに書いている通りである。

 トランプ大統領にしてみれば、北朝鮮への圧力は万一戦争になったところで、東アジアで無残な破壊が起こったとしても、アメリカが被害を受けることは少ないことを前提に、圧力を強め危機を煽って武器を売り込むのが得策で、中国や韓国、ロシアなどをはじめ戦争反対の世界的な世論も強いので、究極のところで話し合いで解決できればそれでも良いというようなスタンスで臨んでいるのではなかろうか。

 韓国は戦場になるかならぬかの現場の切迫した臨場感から、日本のように全面的にアメリカにゲタを預けるわけにも行かず、アメリカに同調しながらも、必死に平和的解決の模索を主張しているのがよくわかる。

 そんな中で日本だけがアメリカに追随して話し合いを否定し圧力一辺倒で進めて、究極的にどうするつもりなのであろうか。世界の趨勢から見れば、紆余曲折はあっても、最後は話し合いの解決しかないであろうから、アメリカもそれに同調せざるを得なくなった時のことも考慮しておくべきではなかろうか。そうした場合日本がひとりはじき出されて孤児になる恐れは考えなくても良いのであろうか、心配である。

 今回のトランプ大統領のアジア歴訪は中国訪問とAPEC会議出席のためヴェトナムへ行くのが主な目的であり、日本や韓国訪問は北朝鮮問題を踏まえて武器を買わせようというのがむしろ主な目的なのではなかろうか。