国際的いじめ International Bullying

 北朝鮮大陸間弾道ミサイルを発射したり、核実験を繰り返したりして、ここのところ国際間の緊張が高まっている。国連ではアメリカが石油禁輸などの一層強い圧力をかけることを望んでいたが、中国やロシア反対に合って、全会一致にこだわって譲歩した案になったが、制裁決議はなされた。

 北朝鮮の問題はもう長年にわたり議論され、国連での非難決議も何度も出されているが、一向にに解決されないまま次第にエスカレートして来ている。一般の報道などによると、北朝鮮という「ならず者国家」がいて、世界のルールに反して核やミサイルを開発し、世界の平和を脅かしけしからんということになっているが、こんなことを言えば袋叩きにでもあいそうな気もするが、少し見方を変えれば、これは何だかアメリカ主導の国際社会が寄ってたかって北朝鮮をいじめているような図にも見える。

 核拡散防止条約で核を持っている5ヶ國以外は核を持たないとする決まりも、アメリカの都合でイスラエルやインド、パキスタンが核を持つことは容認しながら、イランや北朝鮮が持つことには反対するという矛盾がまかり通っているし、核を持たない広範な国々の要望による世界中の核爆弾を廃止しようという核兵器全面廃止条約には核保有国が反対するという問題もある。

 北朝鮮の核開発もこういった世界情勢を踏まえた上で考えねばならない。北朝鮮の核開発はどこかの国を攻撃しようというものではなく、明らかに自国の生き残りのためである。イラクリビアがアメリカの都合で攻撃され滅ぼされたのを見て来た北朝鮮が、まだ朝鮮戦争後の平和条約も結ばれていない状況下で、横暴なアメリカからの挑発にも抗して生き延びるためには、核やミサイルを持って対抗出来るだけの軍事力を持つことが必須だと考えるのは当然であろう。

 そのために北朝鮮は「先軍思想」とかいって、この世界に生き残るためには何を犠牲にしてでも、とにかく核兵器を持って反撃出来るだけの力を持つことが不可欠だとして来たのである。したがって、今の状態を解決すべくいかなる話し合いがあっても、北朝鮮が核を放棄する条件の上での話し合いに応じる可能性は先ずないであろう。北朝鮮が核やミサイルを放棄すれば早晩国が滅ぼされてしまうと考えているからである。

 そうとすれば残された道は北朝鮮の核保有を認めた上で、その不使用を約束し、平和条約の締結し、長い目で将来的に世界的な核兵器廃止を目指すか、そうでなければ全面的な戦争で日本をも含めた東アジアを壊滅し尽くす悲劇に突入してしまうしかないのではなかろうか。

 世界的な経済制裁を強めるだけでこの問題は解決しないであろうし、日本をはじめ東アジア全体を巻き込むような戦乱を世界の人たちが望むとは考えられない。ここは困難であっても、前提条件なしで話し合いの場を設けて、平和的な解決の道を探るよりないであろう。

 北朝鮮を見ていると旧大日本帝国とよく似ているのでどうしても好きになれないが、それでも世界の平和と発展のためには国際的ないじめを止め、北朝鮮を国際社会に受け入れる寛容さをアメリカやその手先である日本や韓国が示さなければならないのではなかろうか。