右傾化の将来は

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 最近の安倍内閣の右傾化の傾向はますます激しくなってきた。アメリカの国際法を無視したシリアの爆撃にさえ安倍首相は支持を表明し、多くの日本人の心から願いであり、日本の国是にも近かった核兵器廃絶運動にもかかわらず、国連核兵器禁止条約にさえアメリカの意向を”忖度”して反対し、アメリカ従属の姿勢を益々強める反面、尖閣諸島竹島問題など国境問題をことさら煽って、嫌中、嫌韓の世論を高め、中国や韓国に対する無用な緊張や敵対関係を進めている。

 それとともに国内的にも憲法の解釈を変えてまで、秘密保護法や安保関連法案、共謀罪法案などを次々に強引に成立させ、国旗、国歌の強制や監視社会の強化、言論の統制を強め、憲法改正さえ目指し、先日は教育の分野でも道徳教育の必須化、教育勅語の強化への取り入れを容認するなど右傾化の傾向はとどまるところを知らない。

 そう思っていたら今日はさらに驚くべきニュースが飛び込んできた。

「政府は14日の持ち回り閣議で、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの自伝的著書「わが闘争」の教材使用について、「教育基本法等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる」とする答弁書を決定した。」(時事通信2017年4月4日)そうである。

 思わず今流行りの「フェイクニュースではないか、悪い冗談ではないだろうか」と目を疑ったが、どうも本当に閣議決定されたもののようである。

 安倍政権は、教育勅語といい、「我が闘争」といい、過去の負の歴史を肯定的に評価することに躍起になっているようである。日本が過去に引き起こしたアジア・太平洋戦争は安倍首相らにとっては侵略戦争ではなく、アジア解放の聖戦であるらしく、ナチス・ドイツと同盟を結んだことも否定的に評価することはできないようである。彼らは戦前の大日本帝国の復活を目指しているようで、 安倍政権の暴走が止まらない。

 しかしこの戦前復帰の右翼路線に将来の展望はあるのだろうか。世界は未だヒトラーのナチズムを許さないであろうし、アジアにおける日本の侵略戦争の歴史は消しようがない。しかも、アジアの情勢は当時とはすっかり変わっている。もはや中国は日本を抜いて世界第二の経済大国になってしまっているし、韓国や東南アジアの諸国の進歩、発展も著しい。アメリカの一方的な覇権も確実に揺らいできている。日本は今や少子高齢化の時代で労働者不足で経済も停滞せざるを得なくなっている。

 その中での戦前復帰路線は再び大日本帝国滅亡の愚を繰り返すことになるのではなかろうか。 以前に安倍首相の右傾化をやゆってヒトラーになぞった像がSNSに出回っていたが、まさにその写真の通りに、「我が闘争」まで持ち出してきたのかと驚くとともに、このまま行けばナチス化した日本はアメリカにも裏切られ、アジアでも孤立して、そのまま再び奈落の底へ落ち込む以外に道がなくなるのではないかと恐れるものである。