不時着?墜落?

 沖縄でオスプレイの事故があった。その報道がNHKは着水と言い、新聞は不時着と墜落に分かれていた。同日に2件もあったらしいが、一方は普天間基地での胴体着陸だったようで新聞では見かけなかった。

 海へ落ちたオスプレイの事故については、アメリカ海兵隊がsoft landinng=不時着と言ったので、それに従った新聞が多かったのであろうが、海兵隊の新聞(MarineTimes)や星条旗新聞、アメリカの新聞などではcrash-land=墜落と書いている。日本の新聞では琉球新聞だけが墜落といっているようである。

 写真を見ると、胴体が完全に二つに割れているのや、バラバラになって海に浮いたり岸辺に流れ着いたりしているのが判る。どう見ても不時着とは言えそうにない。やっぱり墜落なのであろう。

 日本のものであれば判断が分かれることはないであろうが、米軍の事故の場合は、日本人は事故機に触れることもできず、全てアメリカ軍が処理することになっていて、情報は全てアメリカ軍の発表に依存せねばならないようになっている上、さらに国内的な政治的な配慮まであって、独自の判断を下せなかったことなどこのようなバラバラな言い方になったのであろう。

 こういう事故が起きると、実は日本が完全な独立国でなく、安保条約に縛られたアメリカの従属国であることがはっきりする。国内で起こったことであっても、治外法権で日本人は何も手出しができず、全てがアメリカ軍によって処理されることになるのである。

 早速に沖縄県の安慶田(あげだ)光男副知事が14日、在沖米海兵隊トップのニコルソン四軍調整官に対し抗議に行ったが、安慶田副知事によると、ニコルソン氏は「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と机を叩いて抗議に不満を示したという。若い出先の軍人なので政治的な配慮が欠けていたのであろうが、日本に対するアメリカ軍の基本的な態度が自然に出ているものであろう。

 とりあえずは中央政府もアメリカ軍に申し入れて当分オスプレイの使用を見合わせることになったようであるが、これで基本的な状態が変わるわけではない。

 1972年来沖縄でのアメリカ軍機の墜落事故は四十八件となるそうで、いくら従属国でも、ここらで政府としても国民の安全の願いに応えて、沖縄の基地問題も含め、安保体制の改善を考え交渉してもらいたいものである。

( 大手新聞から琉球新聞へ墜落から不時着へ表現を変えるよう圧力があったという記事もFacebookにあった。)