読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日本は立憲主義国家なのか

 かって国会の答弁で安倍首相は「私は立法府の長だ」と言って後で取消したことがあった。首相がまさか三権分立立憲主義を知らないわけはないだろうが、最近の政府の国会での行動を見ていると、ひょっとしたら三権分立という憲法の原則を知らないのではないかと思わせるぐらい、行政府が立法府を軽んじて、多数に乗じて自分の好きなように国会を運営しているとしか思えない。

 今国会だけでも、TPP法案、年金カット法案、カジノ解禁法案などを無理やり強行採決で相次いで成立させてしまっている。長い間の自民党政権の下でももこのようなことはかってなかったことである。

 TPPは審議の途中でアメリカの次期大統領が破棄することを明言しているにもかかわらず、アメリカを説得すると称して強引に通してしまい、カジノ解禁法案などは会期延長の機会を利用して突然上程し、わずか5時間半の審議で無理やり成立させてしまっている。

 強行採決でなく野党が採決を邪魔しているだけだなどと開き直っているが、国会は立法府であり、行政府ではない。意見の異なる党派を交えて慎重に審議した上で決定するのが立法府としての仕事であるはずなのに、質問に対しても真面目に明確な答えも出さないままに数を頼りに強引に採決しているのが実情である。

 これで三権分立と言えるのであろうか。行政府が立法府を無視して自分たちの思い通りに政治を進める今のやり方であれば、これは形だけの立憲政治の影に隠れた、もう立派な独裁政治と言えるのではなかろうか。

 安保法案が憲法解釈を曲げた明らかの違憲の法案であった上に、その後も憲法を無視した政治がどんどん進められていることに怒りと恐怖を感じるのは私だけではあるまい。