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ペンは剣よりも強し

 朝日新聞の一面に鷲田清一氏の折々のことばが連載されているが、昨日のテーマ(558)

は "The pen is mighter than the sword"であった。

 それを読んで歳を取っても知らないことや、間違って思い込んでいることが多いことを改めて知らされた。この「ペンは剣よりも強し」というのは、てっきり権力に屈しない言論の精神をうたったものばかりと思って来たが、元々はここの書かれていたように、英国のブルワー・リットンの戯曲「リシュリュー」の中のセリフから来ているもので、本来は「いかなる抵抗勢力といえども統治者の令状一枚で潰せる」という意味だったということを教えてもらった。

 それが反転して現在普通に使われる私の理解している意味で使われるのが普通になったということらしい。何となくどこかで覚えた言葉は、その成り立ちや、深い意味などをあまり考えずに自分の勝手な解釈で使って、大きな矛盾に遭遇しなければそのままになっているのが普通であるが、こうして何かの機会に教えてもらうと、有り難く、楽しいものである。

 ただ、この言葉もおそらくそのために引用されたのであろうが、筆者が指摘されているように、現在のこの国では、また元の意味に戻りつつあるようなが時勢になって来ている。近頃はメディアが一斉に政府の意向を忖度して、報道に必要以上に気を使って、大事な情報が報道されなかったり、偏った報道しかなかったりすることが多くなって来ているたようで、一枚の令状で政府の意に沿わぬものは皆切り捨てられそうな気配である。。

 最早、本当のことを知りたければ、いろいろな細切れの情報などを寄せ集めて組み立て、自分なりに想像するよりない。どこか次第に戦前のこの国に戻って来ているようで、何か恐ろしいことの前兆のような気がする。

 九十近い老人がいつまでも生きられるわけではないが、子や孫がこの国にいなくても、長年住んで来た大阪は好きだし、一緒に生活して来た人や、これから生きていくことになる子や孫の世代の人たちに、我々が経験したあの惨めな戦争だけは繰り返さ背たくないと思うばかりである。