平和を守る新任務

 ホームページを見ていたら見出しに「平和守る新任務」と書かれていたので、一瞬どこの平和のことかと思ったら、安倍首相が陸上自衛隊朝霞訓練場での観閲式での訓示 の話であった。
 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に触れ「平和安全法制によって諸君たちには新しい任務が与えられる。尊い平和を守り抜き、次の世代へと引き渡していくための任務だ」と強調した。

 政治家はいつの世でも「平和のために戦争をする」という言葉を繰り返す。今回も安全保障法を強行採決で成立させ、自衛隊が集団安全保障でアメリカ軍の指揮下などで、外国ででも戦争ができるようにして、手始めに南スーダンで戦うために行かすのに、それがどうして日本の平和のためになるのだろうか。平和憲法を持つ日本の軍隊が、外国へ行って日本を守るためでもない戦争をすることに、誰でも疑問に思わない人はいないであろう。

 国際的にも平和維持軍などというが、平和維持軍によって問題が解決した試しはない。争いが止んだ間の治安維持にはある程度役立つが、平和維持軍に思惑があって返って紛争の解決を困難にしてしまっていることもある。

 それはともかくとして、政府が戦争を言い出す時には必ず平和が持ち出されるもので、為政者が平和と言う時は戦争と読み替えて考えるべきである。日本の過去のあの戦争の時も、早くから「東洋平和のために」「東洋平和のためならば」と繰り返し唱えながらどんどん侵略戦争を広げて行ったことを忘れてはならない。

 またぞろ、「平和安全法制」と言って戦争を可能にする「戦争法案」を通し、一段一段と平和を唱えながら戦争の準備をして行く政治の進め方は戦前の大日本帝国のそれに似てきている。本当に平和を守るためには政府に憲法を守らせ、民主主義を守らせ続けることが不可欠である。

平和のためにこそ戦争をしなければならないと言う矛盾した論理に二度と誤魔化されないようにしたい。