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原発事故賠償は国民にも負担させる

 昨日(10月2日)の新聞を見ると、原発事故を起こした場合の電力会社などの賠償責任に上限を設け、それを超えた分については税金や電気料金などの形で国民の負担で補うという電力会社の事故の責任を「無限責任」から「有限責任」に変更する案を国の専門部会が近く示すことになったそうである。

 東京電力福島第一原発の事故による損害が兆円規模となったことを踏まえ、電力業界は原発の推進は国策なのだから、国も事故の保障を担うべきだという考え方のようである。実際に事故が起き、多くの人たちの反対の声をも無視して再稼働しておきながら、利益はすべて事業者に行き、事故が起これば国に依存し、国民に負担を求めるというのはあまりにも身勝手過ぎである。

 弁護士連合会も事故などの不法行為の法制度で賠償の責任が限定されることはありえないとしているし、事業者負担を限定すると、賠償制度が持つ「事故の再発を防ぐ」機能が失われることにもなりかねない。

 福島の原発事故により直接、間接に被害を受け、今なお残留放射線の被害に苦しむ人も多い。また、万が一にでも起こる事故の可能性を考えて、原発再稼働に反対し、原発を廃止し代替エネルギーを求める人たちも多い。これらの人たちにまで権力によって事故の賠償金を払わそうとするのは、国家権力の乱用にもなり、それを求める電力業界はあまりにも身勝手で、非人間的ではなかろうか。

 いったん事故が起きれば補償さえ出来ないものを、補償を安易に国に押し付けてまで原発を再稼働しなければならない理由は、アメリカによる圧力があるにしても、原発による利益しか考えない電力会社の基本的な姿勢にあるとしか言えない。

 原発により生じる核廃棄物の処理の問題だけではなく、このような原発事故に対する対策の危うさから見ても、原発は廃止して他のエネルギーに変換することを考えるべきであろう。