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大病院の初診患者

 女房の妹が某大病院に受診することになり、そこの外科医に紹介したこともあって付き添いで一日付き合ってその病院へ行った。

 病院に着いて先ずどこへ行ったら良いのかあらかじめ電話で聞いたら、一番の窓口へ行けと教えられたので、病院へ入ったらすぐわかるだろうと思い、建物に入って、まず一番と書かれた窓口を探したが、一番と書いてあるので覗いたら臨床心理室と書いてある。「これは違うなあ、どこだろう」と少しうろちょろしていると、患者の受付らしい窓口が並んでいるところが見つかった。その一番奥が一番の初診の受付であった。

 電話で教えてくれた人は恐らく、病院へ来たら誰しも先ずは受付に行くので、受付の中の一番の窓口が初診の受付だということを教えてくれたのであったが、初診のものには初めに受付へ行くということが分かっていないのである。

 この病院はかなり古い建物で現在新病院を建設予定なぐらいで、病院の建物に入ったらすぐに受付があるというのではなく、廊下を曲がった奥のような所に受付があるので、建物に入っても、その場所がすぐに誰にでもわかるようには出来ていないのである。

 病院の建物に入ったすぐ近くには病診連携室や総合案内所があって、肝心の受付は直接見えない。知っている人のとってはなんでもないことであるが、この病院では歴史的途中で正面玄関が裏と表で入れ替わったようなことがあり、今日のようにわかりにくくなってしまったもののようである。

 受付で書類を書いたりして待つこと約30分、受付が終わり診察券などを作ってもらうと、次に地域連携室へ行って紹介状を出し、そこで紹介状のCD− ROMなどのコピーを作るのにまた30分ぐらい待ち、ようやく教えてもらって2階の外科の診察室に向かう。

 ところが、ここもややこしく、廊下に面して受付があるが、診察室はそこから少し廊下を行ったところから入った奥に待合室があり、それを取り囲んで12〜3の診察室があるのだが、それがまたL字型に配置されていて目当ての診察室を探すのに一苦労。

 当然そこでもしばらく待って、約束の時間より30分ぐらいの遅れで診察してもらう。診察は詳しい紹介状やデータも揃っていたのでスムースに済んだが、その結果、入院ということに決まったので、その後は検査ということになった。

 受付の看護師さんが親切に受けるべき検査やその順番、検査室の場所など教えてくれたのでその通りに行った。

 先ずは心電図と呼吸機能検査それに腹部エコーなどの生理機能検査センターへ行く。廊下を挟んでいくつも部屋が並んでおり、途中に受付らしい窓口があるが人影はない。その窓口の前に機械が置いてあり、診察券を挿入すると番号札のようなものが出てくるようになっているが、勝手に使って良いものやら、どういう人がそれを使うのか一見では少しわかりにくい。

 試みてみると番号札が出てきたのでその番号を見ると、廊下にある案内板に番号が出ていて、それに従って順に呼び出しがかかるようになっていることが分かった。一度覚えたらなんでもないことだが、初めての人には少しわかりにくい。後から来た患者さんもどうしたものか迷っているので使い方を教えてあげた。

 係りの人は皆親切で、ずっと受付の前あたりの椅子に座って検査の済むのを待っていたら、「何の検査でお待ちですか」と声をかけてくれたぐらいだが、初めての患者には少し手続が分かり難い。女房の妹も番号札を持ってはじめ腹部エコーを撮ってもらい、次に違う部屋で心電図などを撮ってもらう段になって、その番号札をもう済んだものと思ってなくしてしまっていたので、また機械に診察券を入れて番号を取り直すようなことをしていた。

 その次に採血室へ行ったが、ここでも同じシステムで、また診察券を入れて番号をもらい順番を待つこととなる。出てくる番号を書いた紙の色は違うが、心電図室で番号をなくす失敗があった患者は、今度はなくさないようにとその済んだ番号を持ってきたので、採血室の番号と二つの番号を持つこととなり、どちらの番号だったかなと戸惑う一時もあった。

 こういう機械を導入したのには長い病院の歴史に中で、いろいろな工夫した結果であろうが、職員にとっては合理的で便利なものに違いないが、初めて病院に来ることの多い患者の側からすると分かり難い。昔のように名前ででも呼んでもらう方がわかりやすい。番号を使うにしても、せっかく診察券の番号があるのだから、同じ病院の中ならどこでも診察券の番号に統一して使ってもらえるようにすれば、気楽なように思うががどうであろうか。

  ついでに一言付け加えさせてもらうと、病院のあちこち回るごとに、どこでも診察券を出したりしまったり繰り返すので、どこかで診察券を落としたりなくしたりしないか気になったが、診察券を今はやりのIDカードのように首からぶら下げるようにして、あちこちの部署で必要に応じて診察券をかざして読み取らせるようにすれば、患者にとっても楽だし、事務処理上も効率的になるのではなかろうか。

 採血が済むと今度はレントゲンを撮りに放射線科へ行く。ここでは番号の機械は使っていないかった。ところが受付がたくさん並んだ放射線室の一番端にあるので、「何番の部屋の前でお待ちください」と言われたが、その場所がわからない。「真ん中のあたり」と言われて歩いて行ってその番号に行き着いた。各部屋の正面にもドアにも番号が大きく書かれているが、壁に貼り付けてあるので受付からは見えない、これなど、壁から突き出した形で番号が書いてあれば、誰でも受付からすぐのその番号が分かるのにと思われた。

 どこの部署でも職員は皆親切である。しかし、職員から見ると便利で効率よく考えられた工夫も、初めての患者から見るとまだまだ分かり難く、利用し難い。

 検査室などに表示以外でも、トイレのありかもデパートのような親切な表示はなく、入り口に表示があるだけで分かり難い。建物が古く、工夫して色々無理に使いこなしているためであろうが、患者の動線が長く、複雑で分かりにくい。

 新病院に期待するよりないが、そこでは少なくとも外来部門はもっと患者の動線も考えて、初めての患者にも分かりやすく、行きやすい配置にしてもらいたいものである。

 病院に入ったのが午前9時。最後の入院の案内説明を聞いて病院を出たのが3時であった。やはり病院に行くのは一日仕事である。私など、付き添いでただ待っているだけだったが、それでも疲れた。

 元気な人なら良いが、歳をとって、当然にことながら何処かが悪い患者にとっては、昔から言われることだが、「病院に行くだけの体力は残しておけ」という言葉をつくづく感じた次第であった。