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大本営発表

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 「大本営発表」というのは今では意識して流される誤った報道の代名詞のように使われている。戦時中、大本営発表を聞いていると帝国海軍はあちこちで次々とアメリカの戦艦や航空母艦を轟沈したり撃沈したりしているので、計算上いくらアメリカでももう軍艦がなくなるのではないかと思われたが、それでも現実にはどんどんアメリカの艦隊は攻めてくる。いったいどうなっているのだろうと思ったことがある。いくら嘘を続けても、続ければ続けるほど現実と辻褄が合わなくなって子供にも疑われることになるものである。

 こんなことはまさか今ではないだろうと誰でも思っているだろう。しかし、今日インターネットを見ていて驚いた。

 八月初めに中国の海警艦が何百隻もの漁船とともに一斉に尖閣列島の接続水域に侵入して来たというニュースが写真入りで報じられていた。これまでもしばしば中国船が接続水域に入ったとか、領海を侵したとかのニュースがあったが、この多数の漁船まで引き連れての行為は、いよいよ中国が強権的な行動に出てきたのではと思わせるような書きぶりであったが、今日のインタネートの記事を見て納得がいった。

 引用した写真の記事のように、日中漁業協定が結ばれていて暫定水域を設け、そこでは両国の漁船はお互いに、相手国の許可を得ることなく操業できることになているのだそうで、八月一日が漁の解禁日だったので、それを待ちあぐんでいた中国の漁船がどっと一斉にに押し寄せてきたもので、それを取り締まるために中国の海警船も来たということのようである。

 そういうことがわかれば何のことはない。何も大騒ぎするような話ではない。戦争とは関係のない平和な話である。それをどうして危機を煽り、反中国感情を煽動するような記事にするのであろうか。誰かの意図で意識的に煽っているとしか思えない。大本営発表を思わせるような誤った印象を読者に与えようと企まれたものとしか思えない。

 尖閣の問題は日本が国有化する以前の状態にして、日中両国が帰属問題を棚上げ状態に戻せば解決する問題で、日中が軍事的にまで争う価値のある問題ではない。政府の宣伝に乗せられず、政府による人為的な対中挑発をやめさせ、外交的に相互の信頼を強める努力をすることが平和を維持し、将来の日本にとっても大きなメリットがあることを知るべきである。

 それにしても、ここまで操作された報道が大新聞にまで堂々と載せられ、それが真実のように語られていることを見ると、まるで戦時中の大本営発表を見るようで日本の新聞やテレビなどの報道が既にここまで操作されいびつになってしまっているのかと慄然とさせられる。