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天皇の退位希望

 天皇がテレビで退位の希望を述べられた。これは慎重に計画されたもののようで、あらかじめその旨の情報が宮内省から流され、時刻を予告されてテレビに流された。時期が八月で広島の原爆記念日に近いので終戦の詔勅を思い出した人もあったのではなかろうか。

 天皇が高齢になり、象徴としての役割が果たせなくなることを危惧して退位したいという意向は誰にもわかることで、その趣旨にしては誰しも反対する人はいないであろう。

 年齢的に八十も越えれば当然体力は衰えるし、前立腺や心臓の手術も受けており、多忙な務めに疲れ先のことを考えると、はっきり意思を表明して、自分が死ぬ前に象徴天皇としての役割をスムースに次の世代に引き継ぎたいと思うのは当然のことであり、誰にも受け容れられることであろう。

 それでも天皇というだけで色々なことが絡んでくるもので、象徴天皇として政治的ととられる発言などを用意周到に排除して話されたにもかかわらず、フジテレビなどは早速、天皇の退位を認めるよう憲法を改正するのに賛成か反対かのアンケートを取り、賛成が80%だったと伝え、憲法改正に利用しようとする姿が丸見えである。。

 天皇の退位は憲法にも皇室典範にも書かれていないが、憲法によって決めなければならないものではなく、皇室典範など法律の改正によってできるものなのに、早速に憲法改正に結び付けようとする動きには注意を払わなければならない。

 もともと天皇が今度の意思を表明したのも、昭和天皇の時f代と違って、象徴天皇として努力してきたこれまでの態勢ををなんとかこのまま引き継いでいきたいという思いが強いように感じられる。

 勘ぐれば、現在の政治情勢を見れば、再び天皇を政治的に利用とする傾向が強くなってきているのが気になるが、政治的に反対の立場を表すこともできず、将来を案じてこの行動に出るよりなかったのかもしれない。

 今の天皇は戦後アメリカ人の家庭教師にもつき、意識的に民主主義教育を受けていることもあり、現在時とともに強くなってきた憲法を無視して独裁傾向を強め、復古調を強める政府の政治の進め方を危惧し、この先再び天皇を利用しようとする傾向の強くなることに危機感を感じて、今回のような行動にでられた可能性もあるのではないかという気もする。

 今度の発言に対して政府がどのような反応をし、どのような行動に出るかはわからないが、天皇の生前退位は歴史的にはいくらでもあることだし、国民の素直な受け止め方も無視できないだろうし、狡猾にフジテレビのような路線を考えるのかもしれないが、いつまでも放置できない問題なので、どういう方向に持って行こうとするのか今はしばらく政府の出方を見守るよりない。