他人の目線

  沖縄の慰霊祭が行われた日のフェイスブック在日米軍司令部が日本におけるすべての基地の74%が沖縄にあるというのは誤解で事実ではない。実際には日本にある米軍基地のうち沖縄にあるのは39%であり、地位協定メンバーの全施設(SDFA)を含めても49%だという記事を載せたそうである。

 沖縄の人たちが日本全土のわずか0.6%の沖縄に74%の基地が集中していることを訴えているのを聞いて、米軍が自分たちの持っている記録から「反発」したものであろうが、見方が違うのである。

 米軍の言っていることは間違ってはいない。しかし、沖縄の人にとって問題なのは施設の数ではなく広さ、面積なのである。実際の生活に影響を及ぼす基地の問題はその施設の多さよりも占める面積、広さの方がはるかに大きな問題なのである。

 すなわち、毎日の生活に影響の大きい、完全に排他的で、自分たちの土地でありながら、その施政権や管理権を全て奪われて、自分たちの自由にならず、都市計画も環境汚染などの調査もできず、危険や騒音にも悩まされ、日々の生活が脅かされているのはあまりにも基地の面積が広すぎることによるのである。

 これを読むと、アメリカ軍は沖縄にいても住民の生活などは全く眼中にないことがわかる。軍隊にとっては相手に対する思いやりなどはむし禁否であろうから当然かもしれないが、彼らにとっての関心は基地についてだけで、沖縄の人の生活などについて考えてみるゆとりはないのであろう。

 彼らの常識から言えば、何も日本の基地は沖縄だけにあるのではなく、基地の数を数えてみれば39%にしかならないではないかということで書いたのであろう。当然のことながら、彼らの沖縄の人に対する目線は自分達に直接関係のない他人の目線である。

 ただこれを見て思ったのは、アメリカ軍は兎も角としても、日本の中でも政府などは、アメリカにおもねるばかりで、沖縄の人々の生活に思いをいたすことなく、沖縄問題を他人の目線や上からの目線でしか見ていないような気がしてならない。それだからこそ、沖縄の問題を強いて自分の外に追いやり、お金で解決しようと考えるのであろう。

  沖縄の問題は日本政府が沖縄の基地をアメリカに提供したまま、日本の国民である沖縄の人々の生活を考慮せず、アメリカ追随の手段としてしか見ていないことから来ているものである。