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川内原発を止めては?

 今度の熊本の地震は今までの地震と少し様子が違うようだ。本震があって余震があるのは普通だが、今度の地震で初めて前震もあることを知った。初めの震度6だかの前震に続いて、1日後に震度7.3の本震があり、さらにその後も震度4や5の余震がいつまでも続いている感じである。こう続いて繰り返し揺すぶられると、せっかく地震を免れたものまで徹底的に潰されるのではないかと恐れられる。

 しかも地震は熊本だけにとどまらず、地殻構造に従って大分から熊本の南方の八代まと、広範囲にかなり大きな地震が相次いでいる。地震学会も断層帯の南西にも注意が必要といい、気象庁の説明でもこれまでの地震と違って予測のつかない部分も多いという。今や地震が起こりやすい時代に入っているとも言われる。

 そのような中で地図を見て一番気になるのは、川内原発のことである。現在日本で動いている唯一の原発である。先の東日本大震災に伴って福島原発の事故が起こったこともあるので、このような地震が続いても大丈夫なのだろうかという不安になる。

 原子力規制委員会の田中委員長は「懸念のある時は止めることもできるが、今の所、科学的根拠がない」と述べており、丸川環境大臣原子力規制委員が決めることだとつれない。しかし、熊本地震の最大加速度は川内原発の基準値震動より大きい。普通の常識から行けば、地震が起こればまずガスを切り、電源を抜いて退避するのが当然ではなかろうか。

 それから行けば、現時点では原子力規制委員会の言う通り安全なのであろうが、普通の地震と違っており、予測のつかないこともあるというなら、大事をとって原発を止めて様子を見るという選択肢もあるのではないだろうか。現時点での科学的な判断だけでなく、不明な将来に関してどの道を選択するかは政治的に決めることで、科学者に任せておけばよいことではなかろう。

 多くの人からの要望も出ていることであり、この際、安全である方に賭けるとしても、最悪の場合も想定して一旦停止して、事態が平静に戻るまで様子を見るのが健全な方法なのではなかろうか。

 普通の常識から行けばそうなのだが、それがそうならないのは、背後の関係者の様々な思惑が絡んでいるからであろう。それについて作家の斎藤美奈子さんの書いているコラムの結論部分が興味深い。

 「やっと再稼働にこぎ着けたのに、そう簡単に止められるかという意地。ここで止めたら二度と稼働できなくなるという不安。危機を乗り切れば日本の原発の安全性が立証できるという期待。停止を求める声に屈したら負けだという面子。停止に伴うリスクを負いたくないという自己保身。先の戦争を止められなかった理由と同じだ。こうして人災は繰り返されるのである」と。