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東電さん。いいカゲンにしてよ!

 福島の原発事故後に東電が「炉心溶融」を認めたのが2ヶ月後の5月で、それまではあの爆発後でさえ「炉心損傷」と言って「炉心溶融」は正式に認めていなかった。おそらく経済産業省原子力安全・保安院の広報担当者が「炉心溶融」に言及して交代させられ、以後「炉心損傷」としか言わなくなったのに合わせたのではないかと私は思ってきた。

 しかし、最近になって当時から東電には「炉心損傷の割合が5%を越えれば炉心溶融とする」判断基準を示すマニュアルがあったが、誰も気づかず事故から5年も経った今年になって新潟県に事故の経緯を説明する過程で初めて社員が気づいたということが発表された。

 そんなことが本当にありえるだろうか。マニュアルは事故の前年の10年4月に改訂されていたそうである。改訂作業に関わった社員が基準の存在を知らなかったとは思えない。指摘しなかったのだろうか。また東電は独自の事故検証を行い、12年6月に事故調査報告もしている。調査の過程でも基準があることに気がつかなかったのだろうか。どんな検証をしたのかその妥当性まで怪しくなる。

 そのマニュアルがあれば事故から3日後の2011年3月14日の時点で1、3号機は「炉心溶融メルトダウン)」と判断出来ていたことになり、それにより事故の対応にあたった人々を必要以上に危険にさらした恐れがあるし、住民の対応や避難対策に影響した可能性も否定出来ない。

炉心溶融」は原発の緊急事態を政府に通報する際の要件のひとつともなっており、自社のその判断基準を知らなかったというのは極めて不自然である。単なる「言葉の使い方の問題」などと言って片付けることは 出来ない。これまで政府や国会の事故調査が行われた際にも何故点検されなかったのか不思議である。経緯を明らかにすることが欠かせないだろう。

 これまでの東電の事故後の対応を見ても、事故の説明、責任の取り方、損害賠償などの対応を見て来てもそうだが、このような社会への対応の仕方は消費者や一般国民を軽視するもので、東電の信頼をますます落とすばかりである。

 「東電さん。いくらなんでもいいカゲンにしてよ」と言いたくなる。政府も東電は大き過ぎて潰せないのではなく、いっその事、一度全て解体して責任を取らした上で、新たな電力会社を作るべきではなかろうか。