拉致被害者を見殺しにする政府

 北朝鮮の「人工衛星」打ち上げに対する我が国独自の制裁に反発して、北朝鮮拉致被害者などの調査を打ち切ることにしたと発表した。

 これで拉致被害者の帰国はますます困難になった。本当に政府は拉致被害者を帰国させる努力をしているのであろうか疑わしくなる。制裁することがこの件の解決をより困難にすることは素人目にも明らかである。拉致問題を本当に解決するのであれば、少なくとも今回のような日本独自の制裁は発動すべきではなかったであろう。

 これまで積み重ねてきた制裁の上にさらなる有効な制裁処置がそう残っているとは考えられないし、今回の処置がさして実効性があるものとは思えないのに対して、拉致被害者の救出がより困難になることがわかりきっているのに制裁の上乗せをしたのはどういう意味あいがあったのか疑問である。少なくとも国際的な制裁の加わる範囲だけにとどまるべきであったのではなかろうか。

 拉致家族は見捨てると宣言しているようなものである。拉致家族の悲しみは深い。拉致帰国者の兄の蓮池透さんもtwitterで下記のようにつぶやいているし、横田めぐみさんの両親や曽我ひとみさんも嘆きのコメントを出している。「政府に任せなさい」と言われて任せてきたが、これだけ時間が経っても解決どころか事態はますます困難に向かっている。 

 拉致家族でなくても同じ国民として政府が本気で拉致被害の問題を解決しようとしているのか疑問に思わざるをえない。国民を保護する国家としての責任の放棄にもつながる。

 本気で解決する気なら交渉で少々不利な条件を呑んででも、被害者の帰国を優先させるべきではなかろうか。圧力や制裁などはそれから後の問題であろう。この長い年月の間にいくらも交渉する機会は作り得たはずである。被害者の家族の切なる願いを無視、あるいは利用して、拉致問題を政治的に利用してきただけで、北朝鮮には圧力をかけるのみであったのがこれまでの歴史である。

 拉致問題は圧力で解決する問題ではない。これだけ時間が経過してしまうとそれだけでも解決は困難になる。何としてでも返して欲しいという願いは被害者の家族だけでなく国民の願いである。

 よその国でもその国の政府の大物が出向いて交渉し拉致被害者を連れ戻した例はいくらもある。北朝鮮との場合にも一度は成功しているのである。国には拉致被害者を救出する義務がある。辞を低くしてでも、何としてでも実際に被害者が帰ってこられるように交渉してもらえないものであろうか。

 今朝見た蓮池透 さんのtwitterから:‏
「言わんこっちゃない。見通し甘い。安倍首相どうするんですか?「見殺し」ですか?」