開いた口がふさがらない

 二月三日の衆議院予算委員会で安倍首相が「憲法9条について7割の憲法学者自衛隊について憲法違反の疑いを持っている状態を治すべきではないかという考え方もある」と言ったそうだ。聞いてびっくり、よく言ううな。開いた口が塞がらなかったのは私だけではあるまい。

 つい昨年の秋に、身内の自民党が推薦した学者を含めて、殆どの憲法学者憲法違反だと言ったのに、それに逆らって「安全保障法案」を強引に可決したのは誰だったのだろう。

 どんなことでも、違反を正す積もりなら初めから違反を犯さないことが先なのは当然であろう。今からでも遅くない。憲法を守って「安全保障法案」を先に取り消して欲しいものである。

 憲法99条には「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書かれていることからも安倍首相は当然憲法を守るべきである。

 憲法学者の意見を尊重し、憲法を尊重し擁護する国務大臣であれば、自衛隊の問題を言うのなら、憲法違反の疑いが強いのであれば、自衛隊をどうすべきかを先に考えるべきで、自衛隊を不変のものとして認めて、それに合わせて国民から課せられている上位法である憲法を変えるという発想は本末転倒で、憲法を尊重し擁護する義務を負う総理大臣の義務違反ではないか。

 いくら憲法を改正したいのであっても、このような文言で事を進めようとするのは道理が通らない。国民やその代表である国会議員を馬鹿にした傲慢な言い方ではなかろうか。