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身体のバランス

 昨日帰り道、駅ビルの出口で見た風景である。出くわした若い男が目の前で急に立ち止まったのでどうしたのかと思ったら、片足を上げてそちらの靴を脱ぎ、反対側の一本足で立ったまま、脱いだ靴を裏返して靴を振り、異物を捨てて、すぐまたその靴を地面に置いて履き直し、そのまま歩いて行き過ぎていった。

 誰にでもそのような経験はあるであろうが、おそらく砂つぶか小石でも靴に紛れ込んでいて履きごこちが悪かったので、それをチェックして履き直したものであろう。

 ただ、それを見ていて驚いたのは片方の靴を脱いで中を調べ夾雑物を取り除き、靴を履き直すまで、体が揺れることもなく反対側の一本足で平気に立ってすませていた事である。若いことはいいことだなあとつくづく感心した。

 齢をとるとそんな真似はできない。体の平衡感覚が鈍くなり片足立ちが難しくなってくるものである。体のバランスが乱れやすくなるのである。その結果、片足で立てないどころか、何かに躓いて容易に転倒する事になりやすく、それが老人の事故の原因にもなる。老人の健康調査票にも質問項目に「転倒したことがあるかどうか」が含まれていることが多い。

 私も数年前から時に思いもかけない拍子に道で転倒することがあり、以来なるべくステッキを持って歩くようにしているが、最近は毎朝足や腰の筋肉を鍛える運動をしたり、片足立ちの練習をしたりしている。おかげでここ1〜2年は全く転倒していない。

 年寄りには片足立ちは案外難しいもので、朝その練習をしている時にも前方の何か一点を見つめている時には比較的安定して片足ででも一分間ぐらいは立っていられるが、ちょと脇目をしたりするとすぐにバランスを崩して倒れそうになる。

 ましてや目を閉じると情けないが片足では5秒と立っておれない。そんなわけで偶然若者が平気でしばらく片足立ちを続けているのを見てびっくりさせられた次第である。