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成り行き任せの健康法

 この歳になると人からよく「お元気ですね」「何か健康法などしてられるのですか」などと聞かれることがある。しかし、そう尋ねられても特に健康のためと思ってやっていることは何もない。もう平均年齢を超えて生きているのでいつ死んでもよいし、恥ずかしくもない。

 人間はいつかは必ず死ぬものだと思っているから、八十歳を超えてからは健康診断を受けたこともない。調べればこの歳だから何か異常が出てくるであろうが、そんなものに振り回され心配するのはつまらない。

 何も苦しまなくて死ねれば一番良いが、そうはいかなくて痛みや苦しみを経なければいけないのであれば出来るだけその期間を短くするのが良いのではないだろうか。それならば自分で分からないことをわざわざほじくり出して悩むより、手遅れになって病脳期間を短くする方が賢明であろう。

 そんな考えなのでこの頃は自分で分かる症状はかなわないので対処するが、あとは自然の成り行きに身を任せ、余生を楽しむように心掛けている。Dum Vivimus Vivamus !!

  若い時から野次馬根性だけは旺盛で何でも覗いてみたい方なので、父から「お前のように何にでも手を出していたら何にも身に付かなぞ」と言われていたが、実際その通りになった。

 これはという人に誇れるようなものは何もない。今になっては今更何をしたても残りの時間で素晴らしいものが出来るわけがないだろうと開き直って、何でも気楽にその時々でやりたいこと、見たいこと、聞きたいこと、知りたいことなどを無理をしないで出来る範囲でするようにしている。

  歩くのが健康に良いと言われており、私もよく歩く方ではないかと思うが、健康のためと思って歩いたことはない。春になってまた暖かくなって来るとついうかれて外へ出る。何かの用事で大阪に出かける時には地下鉄の駅の一つや二つは乗らないで歩くことが多いが、歩くのが気持ちが良いし、街の変化の様子などを見るのが楽しみだからである。交通費の節約にもなる。

 現役時代に仕事のことを考えながら目的地まで一目散に歩くのと違って、周りの景色を楽しみながら歩くと新しいビルの出現に驚かされたり、公園や街角に思わぬ綺麗な花などを見つけたりして街の変化を感じさせられたりする。

 また家の近くでは、朝方によく近くの川辺りを散歩しているが、河原では思いの他多くの種類の小鳥たちがいるのがわかる。広く開けた河原の景色は気分を明るくしてくれる。四季の移り変わりも感じさせてくれるなどで、つい散歩したくなるのである。

 少し離れたところにある公園や五月山に行くこともあるが、裾野の住宅街を散歩をするだけでも建物の変遷を発見して興味深々である。その家の出来た時代で外観も異なるのでそれを推測しながら歩くだけでも楽しい。季節の変化も楽しめる。

 月に一度は箕面の駅から滝まで歩くようにもしているが、子供の時のいわば故郷であちこちに昔の思い出があるからである。朝早く行くので行き交う人と挨拶するのも楽しい。時に知らない人に箕面野口英世頼山陽の話を教えてあげることもある。

 外へ行かなくて家にいても、それはそれで結構忙しい。この頃は朝起きたら先ずパソコンを開いてメールだのフェースブックツイッターなど開いて応答したり、孫の様子を垣間見たり、細切れのニュースに触れたりしないと一日が始まらない。

 それが終わっても、パソコンだけでも調べ物をしたり、文章を書いたり、読書の感想、下手な句の記録をつけたり、写真を細工して画像を作ったりと、するべきことはいくらでもあり、一日中続けていても終わらない。

 成り行き任せで自然の掟に従うのが一番よいのではと思っているが、パソコンの前に一日中座っていると肩がこったり足腰が弱くなっても困ると思って、健康法と言えば言えるもので唯ひとつやっていると言えばテレビ体操であろうか。

 八十歳を越えてから始めたのでもう六、七年は続いていることになる。これは女房からの提案に応じたものだが、おかげで昔よく彼女に首が凝るといわれてよく揉まされたものが、もう長い間すっかりその機会がなくなったのはそのためではないかと思っている。

 タバコは42歳で止めたが、酒は毎日楽しんでいる。食事はほとんど洋式で、魚は嫌い肉が好き、脂っこいものも大好きだが、甘いものは苦手で間食は殆どしない。病院に勤めていた時の癖で早寝早起きとなり、4時には起きている。朝が静かで集中してなんでもできるのが嬉しい。昼間でも眠ければ短時間の昼寝をする。なんでも自然に逆らわないのが良いかと思っている。

 このようなことで他人に自慢したり、教えたりするような健康法は何も持ち合わせていない。長寿に一番関係のあるのは遺伝的な素因であって、自然の流れに任せておくのが一番の健康法と言えるのかも知れない。それに逆らうようなことを積み重ねることが良くないのではなかろうか。

 追記:ここまで書いて放っている間に、去る8月4日急性心筋梗塞になって入院し、冠動脈の詰まった所にステントを入れてもらったが、その後も直後は運動量を減らしたものの、自覚症状もなく体に不自由な所もないので、今ではこれまでと殆ど変わらない生活を続けている。

 幸い入院中にあちこちしらべて貰ったが、高血圧も高脂血症も糖尿病もなく、他の血管の動脈硬化も軽いようなので、それから見てもあとはやはりこれまで通りに、年並みに自然の流れに乗って行くのが一番賢明なのではないかと思っている。