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MRI検査は「音の遊園地」

 心筋梗塞で入院して退院してから二日目に、今度は意識消失発作を起こし救急車でまた病院に逆戻りした。今度は失神のあらゆる可能性を考えて、最新の機器を使ってこれでもかこれでもかと言わんばかりに色々なことを調べられた。その数多くの検査の一つに頭部のMRIがあった。私がMRI検査を受けたのは初めてである。

 MRI専用の検査室に行き、大きな機械の前に寝かせられ、頭を固定され、大きな音が出るからと言われて両方の耳に耳栓をされ、血圧測定の圧迫用のゴム球のような物を持たされ、「気分が悪くなったりしたらこれを押して下さい」と言われる。

 やがて「それでは検査を始めます」と言う声とともに、寝ているベッドが動き、頭部が丁度機械の中心の穴の所へ来るように移動して止まり、そこから検査が始まる。約20分かかると言われたが、こちらは目を閉じて暗黒の中でじっとしているだけである。

 しばらくは何も起こらないが、そのうちにトントントントンといった小さな音が連続して聞こえ、それに続いて少し間をおいて、今度はどんどんどんどんというような強い音がリズミカルに聞こえる。

 その後少し無音の間をおいて、また同じトントントントンというような音がし、少し間をおいてどんどんどんどんというような強い音が響いてくる。またしばらくの沈黙の後にまた同じことが繰返される。頭の周辺を回って一巡するかのように同じことが10回以上も繰り返してて聞こえて来る。まるで回転木馬にでも乗って一周している感じである。

 それが終わるとまた暗黒の静寂になる。しかししばらくすると、今度は何かガチャガチャしたような騒ぎが起こる。今度はいろんな音が混ざって大騒ぎ、まるで祝祭でもやっているようである。

 それも済むとまた無音の期間が続き、次は静かな単調な音が連続して流れて来る。セスナ機にでも乗って低空を飛んでいる感じで気持ちが良い。しばらく楽しんだ後、少しの静寂期を経て、今度はもう少し強い連続音が続き、車に乗って広い平らな平原を全速力で走っているような気持ちになる時もあった。そしてやがて検査が終わった。全く平穏で気分の悪くなるようなことは全くなかった。

 初めて受けた頭部のMRIだったので、この私の感想を一般化することは出来ないだろうが、私の受けたMRI検査の印象はこのようであった。「音の遊園地」にでも行って来たような感じであった。皆がそう思うのかどうかは分からない。MRI検査は恐ろしい検査だと言うのを聞いたこともある。検査を終えて病棟に帰った時に、看護師さんに「音の遊園地へ行って来たようだった」と言ったら怪訝な顔をされたので、私のように思う人は稀なのかも知れない。

 もう検査から少し時間が経ってしまったので、うろ覚えのこともあり正確とは言えないかも知れないが、これが私が初めて受けたMRI検査の印象である。