ケッタイなグループ

 アメリカの夏休みは始まるのが早い。今年は休み早々にアメリカにいる下の娘の孫たちが日本に来てくれることになり、年寄り夫婦にとっては何よりの楽しみとなった。

 孫といってももう大学生二人と高校生一人、それに来る間際になって孫のボーイフレンドまで一緒に来ることになった。父親だけが仕事で来れなかったのが残念であったが、母親がお目付役で計五人で帰ってきた。

 上の娘もアメリカに住んでいて、毎年3〜4回出張で日本へ来ているのだが、丁度また出張があったので、その日程を合わせ二、三日一緒におれるようにしてくれ、その上、その連れ合いまでが仕事で中国へ行く途中に日を合わせて寄ってくれたので、また一年ぶりで家族の皆が今年は日本で揃うことが出来た。

 さて今度はどこへ行くかということになり、弟が家を千葉から茨城に移ったので、そこを皆で揃って訪問し、あとローカル鉄道に乗って茨城県の笠間へ行き、笠間稲荷を訪れ、日動画廊を見た後、笠間芸術の森公園とかで陶芸を見たり体験したりして、水戸から東京に帰ることとした。

 弟の娘も加わったので総勢十人、混んだ駅などでは先頭の者が旗でも持って歩かねばならないぐらいの団体となったが、その構成がユニークなので、行く先々で一体どういう団体なのか訝しがられ、入った食堂では好奇心あふれるおばさんに根ほり葉ほり尋ねられた。

 実際「ケッタイなグループ」なのである。年格好だけでも八十を過ぎた老夫婦に、中高年の女性三人、男性一人、それに若者では女性が二人に男性二人という構成。そのうち五人はどう見ても”外国人”だが、それも世代はいろいろな男性三人に女性二人。男の二人はともに二米もありそうな大男である。会話は英語や日本語がチャンポンに聞こえてくる。

 近頃は外国人が混じっていても誰も不思議に思わないぐらい外国人も増えたが、こんな年恰好も違い外見も違った人間たちがそれこそお互いに親密に喋りまくっていたりすると、つい一体どういう集まりかと想像を巡らしたくなるのであろう。このバラエティ豊かな集団ではなかなか親兄弟の一族とは見てもらい難い。

なにも好きこのんで一族を意図してこのようにしたわけではない。親が娘に好きなようにしろと言っていたらいつの間にかこういう結果になっただけである。自然の流れで後悔などしていない。むしろ密かに自慢しているようなものである。

 たいていの日本人は外国人には日本人に対してよりも親切だし、日本語が通じるのでどこへ行っても必要以上に親切に対応してくれるので、いつでも楽しい旅をすることが出来ることも嬉しい。