沖縄独立論

「沖縄独立論」という本が出ている。まだ読んでいないが、沖縄は日本の他の府県と違って特殊な県である。国の一番端にあるというだけでなく、昔は独立した別の国で日本にも中国にも朝貢していたようである。また日本が戦争に負けてからはアメリカが支配しており、日本に返還されたのは戦後27年も経った大阪万博より後の1972年である。それもアメリカと日本だけの取引で決まったようで、台湾や中国の政府は必ずしもそれを認めていないようである。

 沖縄は明治政府琉球処分として日本に組み入れ沖縄県としてから「同化」政策がとられ、沖縄方言も禁止され日本語を強制されたようなこともあり、貧困のため日本や中南米などへ移住した人も多かったようである。その上、先の戦争では「鉄の暴風」と言われるような激しい戦場に曝され、多くの人が殺され家族が崩壊した。

 しかも戦後は巨大なアメリカ軍基地に占拠され、幾多の問題を引き起こしてきたにもかかわらず、日本のアメリカ軍基地の大部分を引き受けさせられ続け、住民たちの復帰以来の絶え間の無い要求も常に退けられて来た。それは今も続き、政府は米軍の要求のままに沖縄住民の切実な要望を無視して、金と権力で強引に普天間基地辺野古への移転を進めようとしている。

 その結果が今回の沖縄知事選挙で移転反対の翁長氏の当選である。それをも無視して政府は移転を進めようとしているし、今朝の産経新聞や読売新聞は社説ではそれぞれ「政府は粛々と移設前進を」とか「辺野古移設を停滞させるな」と書いている。政府が唐突の解散で民意を問うというなら、沖縄の民意をも尊重するべきである。問題の解決は困難である。政府は今後もさらに沖縄県民の要望よりもアメリカへの配慮を優先させる積りらしい。

 沖縄戦の時、日本のために戦って多くの犠牲を払った沖縄の人々について、首里城の地下に立てこもった日本軍司令官は最期に「将来どうか沖縄県民に特別なご配慮を!」という要望を残して自害した由である。

 日本政府にとっては沖縄の住民よりアメリカとの関係が優先するのであろうが、政府がが沖縄をも含む国の政府である限り、アメリカとの関係で如何に困難であっても、もう少し沖縄の人々の困難な生活を知り、その切なる要望に応える義務があるのではないか。沖縄の人々にも耐え忍ぶ限度があるであろう。

 日本政府がこれ以上沖縄の人々を痛みつけ、その要望に応えないのであれば、沖縄は独立して世界に生存権を訴えるより他ないのではなかろうか。同じ同胞としてもそれに賛意を表するより仕方がなくなる気さえする。

 「沖縄独立論」が出てくるのも当然な気がするし、「沖縄独立論」などの本がどのような主張をしているのか知らないが、ここまで痛みつけられれば民衆には反乱する権利があるのが民主主義ではないかと極論したくもなる。