病人の数は人口より多い

 昔と比べて感染症が減り、平均寿命が長くなり、高齢者が増えるにつれて病氣を持った人も増え、今では各種のガンを除いても、高血圧や糖尿病、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患、それに骨粗鬆症認知症など慢性で直り難く持病とも言えるような病氣が増えて来た。

 健康で長生きする人もいるが、これらは病氣になって人はすぐには死なず、比較的長生きするし、ひとりで幾つも病氣を抱えていることが多いので、病人(病氣を持った人)を数えると人口よりも多くなる。国の医療費の高騰が問題になるわけである。

 それぞれの病気がどれだけ多いか、専門医の話を聞くと面白い。専門医は自分が扱う病氣の重要性を強調したいために、その病氣の話をする時にはともすれば病氣を持っている人やそれがもとで死ぬ人がいかに多いかを強調し勝ちである。

 どの病氣についても、それぞれの専門医が口を揃えて自分の病気の重大さを強調しようとするため、専門医どうしでまるでどちらの病氣が多いかを競い合っているように聞こえることさえある。

 しかもこんなに多いのだから専門医だけで診るれるものではないので、いつもは家庭医に診てもらって、必要に応じて専門医が診るという良い所取りの病診連携体制についても触れるのが普通である。

 自分の専門の病氣の研究が社会的に重要な意味があり、出来るだけ皆に注目してもらい、研究費等も多く貰いたいので専門の病氣がいかに多いかを強調したがるわけである。

 そんなことを考えに入れて、病人の数がどれぐらいなのか、 あちこちからの寄せ集めのデータを並べてみると以下のようになる。

 何処までを病氣とするか、自覚症状の何もないこれらは異常ではあっても、すべてが病氣とは言えないのではないかという疑問も当然あろう。

高血圧   797万(H20厚生省)軽症含めると4,300万人

動脈硬化  60歳でガンの4倍

糖尿病   患者890万人、可能性ある人を含めると2,210万人(H19)

肥満    2,300万人

喘息    1,100万人

高脂質血症 2,200万〜3,000万人

骨粗鬆症  780万〜1,100万人、1,300万人

変形性膝関節症  2,400万人

うつ    650万人

認知症 60歳以上の10%、462万人、(世界で6,560万人)

慢性腎臓病(CKD)1,330万人(日内誌2014.5月)

不眠症   2,100万人

  など。

 これらを皆足せば、ゆうに日本の総人口を越えてしまう。異常にしても病氣にしても少なくなって欲しいものであるが、この数が多ければ多い程喜ぶの人たちもいるようである。医者よりはるかに力を持った人たちである。弱みにつけ込む商売ほど強いものはないであろう。